ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの71歳の老人の日記です

ブログ小説「超幸運な男」その59

後ろから
郁恵が
「私も行く」と
大きな声で
言っていました。

郁恵は
寝ていたので
パジャマ姿で
布団をかぶっているので
来られるはずはないと思いました。

家に帰って
服を
持って来よう
と考えていました。

振り返らずに
手だけ振って
勝は
急いで
戻りました。

国道二号線は
車が全然動きません。

道路際の
建物が潰れていて
道をふさいでいました。

サイレンを鳴らして走る
車も
赤色灯は何の役にも立っていない状態です。

勝は
陸橋を渡らず
横断歩道の
車の間を
通って渡りました。

国道43号線は
もっと悲惨です。

来るときは真っ暗でわからなかったのですが
国道の上を走っている
高速道路が
向こうの方で
転けているのです。

目を覆いたくなるような
惨状です。

国道を渡ると
コンクリートで出来た
酒蔵があって
それは
全く影響がないように見えました。

お地蔵さんのある公園の角を曲がると
勝の家で
勝の家の前の家が
全壊しているのです。

自分の父親や母親よりも
世話になった人が
今は
奥さんだけがひとりで暮らしていました。

近所の人に聞くと
その人は
まだ埋まっているのではないかと
言うのです。

勝は
がれきの上から
掘り始めました。