ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの68歳の老人の日記です

ブログ小説「笑顔のアイコンタクトに魅せられて」その93

何体かの
ご遺体を見ました。

幸か不幸か
陽一君はいませんでした。

ふたりは
不動産屋さんの
手続きを
ホールで待ちました。

その間に
陽一君の乗っていた車は見つかったが
陽一君は
見つからなかったと
薫子に
電話をしました。

明日は
他の場所や
避難所
病院を回ると
伝えました。

電話の向こうの
薫子は
ただただ
うなずくだけでした。

他に話すこともなく
電話は終わりました。

夜も
更けて
安置所は
静まりかえっていました。

父親と兄が
自分のバンに戻ったのは
12時を過ぎていました。

寒い社内で
軽く食事をしたあと
車の中の布団の中で
寝ました。

疲れていて
すぐにふたりは寝入りました。

朝が日が
車の窓に
入ってきた時
同時に
目が覚めました。

近くの公園のトイレで
用を済ませて
乗っている食糧を食べて
出発しました。

乗っていた赤い車を
明るい場所で
もう一度よくみました。

がれきがあったところを
取り除いて
見ました。

前の運転席の
ドアがこじ開けられたようなあとと
シートベルトが
切られたあとがありました。

後ろの窓は
割れていました。

車の中を
何か残っていないか
調べましたが
何も
ありませんでした。

後ろの席の
ドアは
開いたままで
ゆがんでいました。

たぶん後ろの席に
座っていた
陽一君は
津波がやってきた時
車から
逃げ出したのではないかと
兄は
推察しました。

陽一君は
泳ぎが
達者だったので
泳いで
逃げたのではないかと
ふたりは
話しました。

車が見つかったところの
警察で
避難者やケガ人の場所を
聞き出しました。

それから
避難所を回りました。

病院も回りました。

道路が
痛んでいたので
あまり回れませんでした。

翌日も
その翌日も
回りましたが
陽一君の
手がかりは全くありませんでした。