ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの68歳の老人の日記です

ブログ小説「笑顔のアイコンタクトに魅せられて」その95

薫子が
車の中を
あまりにもながく探そうとするので
力のある社員は
作業着に着替えて
薫子に言いました。

「車を
ひっくり返してみましょう。
何か見つかるかもわかりません。」と
言ってきたのです。

薫子はそのようにしてもらうことにしました。

ゆがんで開いている扉の片方を
何とか閉めて
それから
がれきの中から
棒を探してきて
テコを下に差し込みました。

石の台をして
力を入れました。
車は少し動きました。

石を入れる場所を変えたり
テコの棒を長いのに替えたり
時間を要しましたが
徐々に浮き上がってきて
最後は
力持ちの社員が
思いっ切り力を出して
一気にひっくり返りました。

自動車の下を
まず見ましたが
がれき以外何もありませんでした。

車内を
もう一度
薫子は
見て回りました。

それも
ジックリ食い入るように
見て回りましたが
何も見つかりませんでした。

陽一君が
この車に乗っていなかったのではないかと
思うくらいです。

二時間くらい
見回しましたが
終わりました。

それから
遺体安置所に行って
新しく入ったご遺体の情報を確認しました。

陽一君に
当てはまる
ものはありませんでした。

それから
警察に
歯医者さんから借りてきたカルテと歯のレントゲン写真と
陽一君の髪の毛と
捜索願を出しました。

他の遺体安置所も回りました。

一日回りましたが
手がかりはありません。

薫子は
自分で探して
被災地の
絶後の
状況がよくわかりました。

夜になって
星を見ながら
考えました。

陽一君は
生きていたら
絶対に
何が何でも
這ってでも
私に連絡してくれると思っていましたので
陽一君は
きっと
お星様になってしまったのだと
思いました。

あんなに私を
愛していた陽一君のことだから
自分の変わり果てた姿を
見せたくないので
遺体が見つからないように
したのだとも
思いました。