別れた後 月夜の道を 家まで帰りました。 登は やっぱり 薫子さんが良いと 思いました。 きっと 片想いのまま だろうが どうせ 結婚しないのなら それも良いかなと思いました。 ひとりで 何でもできるようになったとまでは 言わないまでも 料理も 洗濯も 掃除も 出来るようになっていました。 究極で考えれば 時々 薫子さんの 笑顔が見られれば いいとまで考えていたのです。 結婚より もっと楽しいことがあると 思っていたのです。 登の趣味は 学生時代は 「ひと筆書きの研究」をはじめ 世間的には 役に立たない 事柄を 調べることでした。 40才近くなると そのようなことも もう種切れとなって 新しい発明を 考えていました。 すべては 役に立ちそうもない 発明です。 でも 考えるだけで ウキウキしていました。 会社で扱っている医療器具は 進歩の早いので 興味がありました。 勉強も必要で 閑な時は 文献を読んでいました。 登は 趣味に 仕事に忙しい時間で 結婚については 全く余裕がありませんでした。 家族の 姉や母親は もう諦めていたのです。