ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの71歳の老人の日記です

ブログ小説「スポンジケーキをつくりたい」その17

キスワンの本体を
作らねばならなくなりました。

何しろ
責任者ですから

圧力タンクを作ってくれた
業者に
先ず声をかけました。

「図面があれば
何でも作るが
図面がないと
作ることができない」という
決まった返事でした。

工場まわりもしました。

インターネットで
できそうな会社を探して
電話もしました。

数十社問い合わせました。

しかし結果は
出ません。

これは
キスワンの内容が
伝わっていないからだと思いました。

鉄工所に
説明する言葉は
「この
キッチンエイドを
圧力タンクの中に
入れたい。

なるべく小さめで
開け閉めが
簡単なように」です。

具体的であるようで
全く抽象的なことを
正子は
わかりませんでした。

そんな中
武庫川の河口付近の
工場が
図面を描いてくれることになりました。

キッチンエイドを持って
打ち合わせに行きました。

設計の担当者と
その会社の社長と
3人で話をしました。

同じように説明して
キッチンエイドを入れることを
話しました。

「モーターを
入れない方が」と
社長が
提案してきました。

正子は
モーターが外になれば
圧力タンクは
小さくなるが
モーターの
回転を
中に伝える機構がが
必要になるのではと
思いました。

文系出身の
正子には
想像できませんでした。

要求を
すべて
言って
終わりました。

最後に
設計の代金として
36万円の
見積書をもらって
帰社しました。

社長に
見積書を見せると
少し困ったように見えましたが
承諾してもらいました。

1ヶ月くらいたって
図面が
メールで送られてきました。

相当詳しく
描かれていましたが
正子は
不満でいた。

相当大きなものなのです。

実際に完成する
キスワンの
倍以上の大きさがあったのです。

圧力タンクを
貫く
軸は
パッキンと
パッキンを締め付ける
ネジが
幾重にも並んでいました。

モーターを
外に出したからと言って
圧力タンクが
小さくなっていないのです。

それに
もっとよくないことには
タンクが大きくなった関係で
締めるためには
数本の
ボルトを締めなければならないのです。

社長と相談しました。

社長も
図面の欠点が分かっていて
不採用になりました。

即ち
36万円は
無駄になってしまったのです。

正子の
お給料の
1.5ヶ月分です。