辛く長い数日が過ぎました。
4月2日になりました。
家で1番早起きの
使用人が
新聞を取ってきました。
お祖父さんは
地方版をまず見ました。
名前が
書いてあったのです。
当時は
現代と違って
個人情報云々と
言いませんので
薬剤師試験合格者名簿として
発表されていたのです。
新聞で
発表されることが知っていたので
その日は
雪子も
父親も
いつも寝坊の
母親も
起きていました。
「名前があった-」と
お祖父さんが叫ぶと
みんなが
万歳をしました。
家中
「よかった
よかった」と
声が上がりました。
登録すれば
薬剤師になれるのです。
仕事で
辛かったのですが
その時だけは
忘れていました。
これで
少しは
人生について
大丈夫になったと
思いました。