ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの68歳の老人の日記です

アスカルの童話 桃太郎とアスカル エピソード1 アスカルの奇跡



アスカルの母犬は、飼い主もなく長く野良犬でした。
アスカルを連れて山野を走り小動物をとって餌としていました。
母犬は、アスカルに
「犬たるものよき飼い主に仕えてこそ
その力が発揮できるもの
きっとよき飼い主に仕えるのですよ。」
と常々言っていました。
アスカルが一才になったある日のこと、
狼に周りを囲まれてしまったのです。
母犬は、アスカルを逃がすのが精一杯で、
あえなく死んでしまいました。
アスカルは、天涯孤独になり
母の言葉の飼い主を探す旅に出たのです。

まず町に行きました。
人々は、多くいました。
餌もくれる人もいました。
可愛いと頭を撫でる人もいましたが、
飼ってくれそうな人は、いませんでした。
それで村にでも行こうと考え道を歩いていたのですが、
あまり食べていなかったので、
道端で寝込んでしまいました。
どれほど寝たのでしょうか。
何かよい臭いがするので
目を開けると
立派な侍がいたのです。
アスカルは、その近寄りがたいのに
親しみのある侍に
思わずお座りをしてしまいました。
体がそんな風に動いてしまったのです。
侍は、アスカルを見ながら
「私は、桃太郎です。
ついてくるか。」
と聞きました。
アスカルは、間髪をいれず
「はい 桃太郎様
私は、アスカルです。」
と答えました。
アスカルは、
この人こそ我が飼い主、
この方に会えたのは,
「神の助け
 母のお導き
 に違いない
 ありがたいことだ。」
と考え空腹でよたよたしながら
ついていきました。
あるところまで行くと、
急に止まって
あたりを皆は、
見回し始めたのです。
なにぶん腹が減っていたアスカルは、
その場に横になりました。
その後皆は、
なにやら話し合った後、
桃太郎様の
「アスカルもそう言うならそのようにしよう。」
と聞こえた後、
少し後ろ方へ後退することになりました。
アスカルは、何も言っていないのに、
どういうことだろうと不思議に思いました。
少し離れた倉庫のようなところに隠れました。
アスカルは、辺りを見回し
縄が巻いておいてある場所が、
気持ちよさそうなので、
横になりました。
うつらうつらとしていると
皆が、話し合っている物音で目が覚めました。
桃太郎様が
「アスカルもそれがいいと思うのか。
よしその縄を持って付いて来い。」
突然言われ、
アスカルは、重い縄を持って
よたよたとついていきました。
皆も音を出さないように
ゆっくりと進んでくれたので、
何とか付いていけたのです。
建物の中に入ると
桃太郎や猿やキジは、
大忙しく走り回り
男たちをぐるぐる巻きにしていきました。
アスカルは、右に左に
走り回り縄を皆に渡しました。
10人の男たちを、すべて縛り上げたので
アスカルは、疲れて一番休めそうな
所に横になってひと休みしました。
その後
桃太郎様がなにやら言い
男が大声で怒鳴ったり
キジが激しく言ってあと
桃太郎の言葉が聞こえました。
男たちが今度は、
懇願するような声が聞こえた後
桃太郎様は、
「では、鬼たちよ。
村人に盗んだものを返し、
田畑を耕して自分で生活せよ。
その後のことは、
あれにいる我が家臣アスカルに
、 聞くように。
わかったか。」
と大きな声が聞こえました。
アスカルは、びっくりして
辺りを見ました。
皆も 男たちも私の方を見ました。
アスカルは、
「なんということか
突然言われても、
どうすればいいのか。
桃太郎様
突然会った飼い主に
すぐにわかれるんですか。」
と心の中で思いましたが、
とてもそんなことを
言える雰囲気ではありませんでした。
アスカルは、なんとなくわかったような顔をして
頭を下げました。
鬼たちも解き放され
頭を下げました。
桃太郎と猿とキジは、
少し明けはじめた道を歩んで去っていきました。
男たちは、それを見送ると
食事を作り
アスカルにまずあげた後
自分たちも食べました。
その後さっそく男たちは、
村人に盗んだものを返しはじめ
その後田畑を耕しました。
畑仕事も、
10日間を過ぎると
昼まで終わってしまいました。
それで、男たちは、アスカルに
「アスカル様
何もすることがありません。
何をすればいいでしょうか。
お教えください。」
と初めてアスカルにお伺いを立てたのです。
アスカルは、このときが来ると考えて
ずーと寝ながら考えあぐねていました。
そこでアスカルは、
「男たちよ。
すべきことがなしえたなら
今日は、小春日和のよい天気
縁側で日向ぼっこでもしながら
雑談したりうたた寝でもしましょう。」
と言ってアスカルは、
縁側に行って横になりました。
それは、それは、気持ちがよいほど
暖かい昼下がり
鬼たちは、横になって
休みました、
次の日も男たちは、
同じ事を聞いてきました。
「男たちよ
今日は、昨日と一転して
木枯らしが吹く寒い昼下がり
このような日は、
囲炉裏の周りで横になり
体を暖めましょう」
と言いました。
3日目からは、男たちは、
何もアスカルに聞くことなしに
一番気持ちのよい場所で
横になることを常としました。

そんなゆったりした生活を送っていると
だんだん男たちの
人相は、優しくなってきました。
もう春の頃になると
鬼と呼ばれていたことがわからなくなるくらい
一人を除いて
とてもよい人間の集まりになってきました。
しかしひとりだけ
ほんの少しだけ
鬼の心が残っている男がいて
アスカルを苦々しく思っていたのです。
何かにつけて反抗的でしたが、
仲間の男たちに制止され
抑えられていたのですが
その男は、
「このままでは、鬼が島の鬼は、
絶えてしまう。
おれ独りでも
アスカルを倒し
みんなにもとに戻ってもらって
また来る桃太郎を打ち滅ぼしてくれる」
とひそかに考えたのです。
実行の日を今日と決め
アスカルが横になっているところを
成敗してやる。」と心の中で決めました。
午後になって
今日は、春のうららかな昼下がりなので
男たちは、縁側で寝転ぼうとしたとき
アスカルは、
「今日は、
村に行きましょう。
こんないい日に
家にいるのは、
もったいない。
村に行ってみましょう。」
と言いました。
悪いことを考えていた男は、
「はかりごとが漏れたのだろうか」
と頭の中が真っ白になりましたが、
アスカルを先頭に村へ向かい後をついていきました。
村に着くとアスカルは、
村一軒一軒を訪ね
困っていることはないかどうか尋ねました。
母独りで困っている家では、農作業を手伝い
雨漏りがする家では、修理したりしました。
ほんの少しの手伝いでしたが、
村人の喜んでもらえました。
男たちも今までにない
「感謝される行い」に少し驚いて
夕方になったので
家に帰りました。
悪い考えの男も
家に帰って ゆうげを食べた後
午後の出来事を思いだすと
何か涙が止まらなくなってしまいました。
それからその男は、アスカルを信じるようになりました。

アスカルは、悪い企てを知っていて
村に連れて行ったのではなく
村に可愛い犬がいるというので
行ったというのが本音なんですが、
図らずも こんなよい結果になったんです。
このことは、もっと男たちにとっても
よい結果になるのです。

その後二日に一度の割合で
村に行くことになります。
はじめは、疑っていた村人たちにも
すっかり信用され、
ゆうげを食べて帰る男もいるようになりました。
3ヶ月が経った暑い初夏の日
アスカルも可愛い犬を見つけて屋敷で住むようになります。
それと同時期に
男たちの中でも村の女たちと
結婚したいと言うものが出てきました。
それでアスカルは、
「それは、めでたいことです。
大いに結婚しなさい。
村で住んでください。
時々は、屋敷にも顔を出してください。
男の子ができたら、
15歳になったらこの屋敷に連れてきなさい。
一緒に住みましょう。」と言って
アスカルは大いに喜びました。

ちょうど一年が経とうとするとき
屋敷の男たちは、5人に減っていました。
それから数年が過ぎると
男たちは、すべて結婚してこの屋敷を出てしまいました。
アスカルにも子供ができて
大変仲良くすごしていました。
日々の生活は、
男たちが順番にやってきてなんら差し障りはありません。
アスカルは、星空を眺めながら
「我が主君桃太郎様は、いつお戻りになるのだろうか」
とため息をいつものようについてしまいました。
桃太郎とであった日から10年目の
収穫の秋の日に
アスカルは、眠るように息を引き取りました。
男たちや村人たち全員が集まって
質素な葬式行われ
屋敷の裏山の中腹の村が一望できるところに
埋葬されました。

亡くなった後も男たちは、
アスカルの子孫によく仕えました。
またアスカルの教えに背くことなく
ゆったりした人生を過ごすように勤めました。

それから10年後です。
屋敷には、男たちの息子が成人して
13人住んでいました。
また父親も交代で住んで
アスカル様に対する礼儀や
日々の生活の仕方を教えていました。
村は、昔とまったく変わりませんが、
村人たちは、助け合って
困ったことはありませんでした。
貧しくてもみんな幸せで
ゆったりと暮らしていました。
こんな島になったので
名前も“富島”と変えました。

そんな秋の のどかな昼下がり
あのアスカルが待ち望んだ
桃太郎が帰ってきました。
村人たちも遠くからすぐに桃太郎とわかったのか
村中の人たち全員が迎えました。
3代目のアスカルとその家族たちも迎えました。
屋敷の前にひれ伏して桃太郎を迎えました。
アスカルがまず
「桃太郎様
お帰り下さりありがとうございます。
おじいさんもとても喜んでいるでしょう。
死ぬまで桃太郎様を待っておりました。
どうか家に入って
くつろいでください。
男たちや、村人もすべて
桃太郎様のお帰りを
一日千秋の思い出お待ちしております。」
と言いました。
桃太郎は、
「立派な治世じゃ。
ほかの土地にはない
ゆったりとしたこのときのながれはなにか。
私は、感服した。
初めは、お婆様の使わされた犬でないかとが
わかったとき少し迷ったのも事実だが
一度任せてみようと思った。
一度でもアスカルの力を
信じなかったのは、私の不徳とするところだ。
申し訳ない。」
とアスカルに言った。
アスカルは、
「めっそうもございません。
私のようなものを
桃太郎様の最初の家臣にしていただけたことを
心からおじいさんは、感謝しておりました。
おじいさんばかりが、
偉いのではございません。
よく協力してくれた男たちや
村人たちの力があってのことでございます。
全員の力がそろわないと、
村は、よくなりません。
今日は、とても天気がよい秋の昼下がり、
縁側でゆっくりくつろいでください。」
と答えました。
アスカルや男たちや村人も縁側に集まり
その日一日くつろいだそうです。
2日間その屋敷に桃太郎は、泊まったのち
旅立ちました。

6ヵ月後の初夏の頃
またやって来て屋敷に住み始めました。
屋敷の青年たちと同じように仕事をして、
昼からは、村に行ってお手伝いをしたり、
ゆったりとごろ寝をしたりする生活を始めました。
桃太郎は、そんな生活を
とても楽しくて代えがたいもののように感じました。
そして死ぬまでアスカルと一緒に暮らしました。

その後日本が戦乱に明け暮れているときも
この島は、平和でした。
新しい支配者がやってきても
昔の暮らしをしていて
外見上は、貧しく見えるこの島を
支配しても何も得るところがないと
考えたのかもしれません。
とにかくゆったりとした時間が流れる島です。


このお話は、もちろんフィクションです。
実際の桃太郎や鬼が島のお話とは、まったく違います。