ちょうどクリスマスと言うことで 少し豪華目の夕食でした。 母親は 3人分のおかずを 急ぎ四人分に分けて 食卓に並べました。 十詞子は 「そうだ今日はクリスマス 最近はクリスマスといっても ひとりで過ごしているけど 今年はすごいわ。 家族そろって過ごせるのよ それも悟の家族と これは奇跡だわ あの時 押しかけ女房の手段を使ってたら こんな風になったのよね」 と思いました。 そう思うとなんだか涙が出てきました。 でも泣いたら変だし 我慢して 笑顔を装っていました。 食卓に並んだのは 牡蠣のフライと 野菜の掻き揚げ それにポテトサラダ トマトでした。 十詞子は 牡蠣のフライだけが苦手で 36歳になるまで食べなかったのですが この場で食べないと 雰囲気が悪くなってしまうと 考えて 作り笑いのまま 牡蠣を口に入れ 飲み込みました。 でもどうでしょう。 美味しいです。 思わず 「この牡蠣フライ 美味しいわ」と 言ってしまいました。 悟は 「牡蠣フライは お母さんの得意料理なんだよ。 冬になったら 三日に一日は 牡蠣フライなんだから」 と笑って答えました。 和やかに食事が終わって 妹が ケーキと コーヒーを持ってきました。 丸いケーキで お決まりのように ローソクを立て 火をつけ 電気を消しました。 一瞬お部屋の 薄暗くなって 「アー クリスマスってこんなに楽しいですね」 と 十詞子は言ってしまいました。 悟も 「今日は 今までのクリスマスの中で 一番楽しいよ。」 と言いました。 お母さんと 妹も口をそろえて 「本当に楽しいよ。」 と言いました。 ケーキを食べた後 みんなで 「7並べ」をしました。 10時なったので 順番にお風呂に入って 床に就きました。 いつもは 座敷に母親 次の間に悟 二階に妹が寝るのですが、 この日は 母親が心配して 十詞子を座敷に 次の間に 母親と妹が 二階に悟が寝ました。 妖精は 座敷の端で 寝ていました。