妖精のその後 今までのあらすじ 妖精の星子は 神さまの取り計らいで 剛と結婚して 幸せに暮らしていました。 しかし 剛が 原因不明の 病魔に襲われます。 徐々に弱っていく 剛と それを見守る星子は お互いの愛・思いやりのために 考え悩む日々を過ごしていました。 最後の頼みとする 病院の結果待ちです。 ふたりは 結果が出るまで 息をこらして待っていました。 剛と星子が 病院から やっとの思いで 家に帰り着きました。 お互いに 笑顔で 明るく振る舞っていましたが 剛の疲れは 極に達していて それがわかる 星子の思いは 表現できないくらい 落ち込んでいました。 剛は 転がるように ベッドに横たわり 寝入りこんでしまいました。 星子は こんな結果になって がっかりしてしまいました。 星子は 「妖精だったら その力で 何とかなるかもしれないし 妖精の力で出来ないことなら 神さまに お願いすることも出来るのに 神さまにお願いして 妖精に戻れないだろうか」と 考えてしまいました。 「でも 妖精に戻ったら 二度と 剛に会えないし もうどうしたらいいのかしら と考えて 考えて 、、、、、、、 、、、、」 良い考えなんか出ませんでした。 方や 剛は うつつの中の しんどいところで 「もう私の病気は 回復することはあり得ない 少なくとも 星子さんを 幸せにすることなど 出来はしない。 なに不自由ない 妖精から 私のような 老いぼれの 世話をさせて そんなことで 星子さんを縛るのは あまりにもかわいそうだ」と 思っていました。 「星子さんを 開放するためには 私が死ぬしかない。 自殺などすれば 星子さんに より心の重荷を背負わせることになってしまう。 明日の朝起きたら 自然に死んでいたらいいのに 、、、、、、 、、、、、 、、、、」 ふたりは 夕ご飯を 笑顔で 問題のない ことばかり話していましたが ふたりの心には 明日はありませんでした。 夕ご飯後 剛は 体を拭いて ベッドに再び寝入りこみました。 星子は後片付けをして 剛が お風呂に入らないので 星子も入る気がしなくて 剛の横の ベッドに入りました。 星子は 寝付けませんでした。 遠くまで行って 疲れているのに 目がさえて 眠れないのです。 寝返りを打ったりすると 剛を起こしてはいけないので 静かに 横になっていました。 二時間しても 眠くならないので ソーと 起きて 剛が元気なときには 寝ていたロフトに 上がりました。 天窓を 静かに少しだけ開けて 頭を出して 夜空を見上げていました。 「そうよね。 私って 流れ星の精なんですよね。 神さまの命で 願いを叶えたことも あったよね 流れ星が 流れている間に 願いを言ったら 叶えるというのが 人間界の 常識らしいけど それは 違うんですよね。 神さまが見ていて 一番 叶えて上げたいとう人を 私たちに 命じるみたいですよね。 その基準は よくわからないけど そうなんですよね。 『人間界のことは 万物の法則に 従う』という 決まりの例外を 私たちは してるんですよね。 ということは 私は 今は人間 流星に お願いしたら 剛は 元気になるかもしれない。」 という 考えに至りました。 流星の精の 星子が 万策尽きて そんな風に考えたのは 当然の結果です。 真剣に 夜空を眺めました。 眺めたというか 凝視したのです。 何時間が過ぎたでしょう。 今日はクリスマスイブの夜 星子は 真剣に 願いました。 剛は 隣のベッドに 星子がいないことを 星子がいなくなってから しばらくして わかっていました。 そのあと 冷たい空気が 上から下りてきたので ロフトの窓が開けて 空を見ていることが わかっていました。 剛は 「流れ星の精の 星子が きっと私のことを 神さまにお願いしているのだ」と 理解していました。 剛は うつつの中で 「星子さんを 自由にさせるために 私を早く 死なせて下さい。 私さえ 自然に死んでしまえば 星子さんは また 妖精に戻って 自由に生きられる そして もっと 他の人間のために 妖精に戻って下さい。 、、、、、、 、、、、、 、、、、、、」 ふたりの願いは 果てしなく続きます。 そして ロフトから 朝日が 入り込む 時間が来たとき 一晩中 見ていましたが 星子は 流れ星に 願いを かけることは 残念ながら 出来ませんでした 遠く離れたところか すぐ隣かもしれないところで 神さまは 星子と 剛のことを見ていました。 もちろん はじめから 終わりまで見ていました。 『人間界のことは 万物の法則に 従う』ということで 何もせずに していたのです。 星子の思いと 剛の思いは 痛いほどわかるのですが 神さまは その重責を 果たすためには 私情を 捨てることが 必要だと 思っていたのです。 明日 最終回です。 剛と星子の運命は どのようになるのでしょうか。