ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの71歳の老人の日記です

妖精のその後 全話

妖精の星子
いや今は
妖精の力はなくなっている
妖精の星子は
剛と幸せに暮らしていました。

剛は
60歳を超えた老人です。

星子は
400歳を
越えていましたから
釣り合いが
とれないと言えば
とれないでしょう。

どうとれないかは
隣人の
若夫婦に言わせれば
「若い奥さんをもらって
元気なご老人」だそうです。

妖精は
歳をとらないのです。

とくに
星子は
妖精の力はありませんが
病気もしないし
歳をとらないのです。

星子を妖精だと言えば
剛は
あらためて
人間と言っておかなければならないでしょう。

そんな剛と
星子が結婚して
もう
5年もたちます。

誰か
心理学者が
男女の愛情は
3年しかもたないと
言っていたが
妖精と人間の
カップルでは
成り立たないみたいです。

ふたりは
いつも
仲良しで
剛が
年金生活者となって
毎日いるようになったら
もっと
仲良く
暮らしていました。

その生活は
慎ましやかな生活を
していました。

剛は
年金生活者ですが
星子は
無年金者ですので
そんな風な生活を
せざる得なかったのですが
ふたりはそれを
楽しんでいるようでした。

出かけると行っても
電車やバスで出かけ
お金のかからない山や
百貨店まわり
無料のコンサートなんかに出かけました。

ふたりで仲良く
弁当を作ったりするのが
とても楽しかったのです。

今日なんか
尼崎市民まつりがあったので
弁当をもって
出かけました。

何も買わなかったら
お金もかからないので
見て回るだけで
公園の外れで
天気がよかったので
シートを敷いて
ふたりで作った
お弁当を
食べました。

とても美味しいのです。

それから
同じような日々が続いて
だんだんと寒くなってきました。

星子は
剛のために
暖かそうな
マフラーや手袋・靴下を買って
剛にプレゼントしました。

剛は大変喜んで
「これでこの冬は万全!」と
言って喜んだのです。

でも
寒くなってくると
剛は
なんだか
気が晴れません。

星子は
神さまの取り計らいで
歳をとらないし
病気もしたことがないのです。

そんな星子は
病気のことが
頭ではわかっていても
経験がないので
わかりませんでした。

剛が
元気がないと
言っているのが
気がかりでしたが
どうするもできずに
数週間が
過ぎてしまいました。

剛の最初に症状は
何となく疲れやすいというものだったですが
寒くなってくると
一進一退を繰り返しながら
だんだんと悪くなっていきました。

全身が冷たく感じて
痛くなるのです。

そんな剛を見て
星子は
病気というものが
具体的にはわかりませんでしたが
つらそうなことだけは
理解しました。

インターネットや
近所の人たちに聞いて
ろんなお医者さんのところに
もちろん診察を受けに行きました。

いろんな検査をしたりしても
もうひとつわからないのです。

剛は
星子に
心配はかけたくないので
何もなかったかのように
振る舞っていますが
とても悪いことは
誰が見てもわかります。

手足の
あらゆるところが痛み始め
足の裏も痛いのか
歩くときも
ゆっくりです。

星子は
なぜこんなことになるのだろうと
考えましたが
答えが出るわけでもなく
剛の病気が
和らぐことだけを
願っていました。

寒い冬が来ると
もっと
症状は悪化して
病院に行くとき以外は
寝たままになってしまいました。

どんなに寝ても
眠気がとれないのと同時に
立っているのも
しんどくて
横になるのです。

剛は
ほとんど
昼夜を分かたず
寝ていました。

起きるのは
トイレと食事とお風呂の時
それから病院に
行くときだけでした。

たくさんの病院を回りましたが
治療方法どころか
病名さえわからない始末です。


剛は
痛いのと
眠気と疲労感のために
一日中寝ていました。
剛が
目覚めたときには
いつも
星子が
のぞきこんでいました。


剛:
星子さん
寝てばかりですまんな
迷惑かけて
本当に申し訳ない

星子:
そんな事ないです。
困ったとき
助け合うのが
夫婦でしょう。

楽しいときにだけでは
ないのです。

剛:
でも
結婚してから
こんなにすぐに
悪くなって
星子さんを
幸せにすることもできずに


星子:
そんなことないです。
剛さんと
一緒に暮らして
うれしい

こんな介護するのも
とても幸せよ

剛:
そういってくれて
ありがたいけど
そんなはずはないよね

星子:
病人の介護
初めてではないの

だいぶ昔になるけど
妖精のお仕事として
介護したことあるの

あの時代は
介護とは呼ばなかったけど

剛:
へー
病人の介護のお仕事って何

星子:
今から
180年くらい前の
天保の大飢饉の時に
今の仙台の近くに
神様の指示で
行ったことがあります。

それは
もう
どういったらいいのか
言葉にできないような状況でした。

先輩の
妖精と行ったのですが
ウロウロするばかりで
何もできませんでした。

そんなことを考えると
今は幸せです。

好きな人の
世話ができて
うれしいです。
いや
どういったらいいのでしょう。

剛が起きているときは
星子が
そばにいました。

剛が寝ているときに
家事を
パッパ-と
手際よく
やってしまって
剛のベッドの横で
じっとしていました。

気配が
わかると
剛に負担がかかるので
少し離れて
それはそれは
静かに座っていました。

剛は
それがわかっていました。

なるべく負担をかけないように
目覚めたときは
心配をかけないように
笑顔でいるようにしていました。

でも
疲労感は
相当なもので
笑顔が続かないので
布団をかぶって
寝てしましました。

星子は
剛の病気が
何かわからないことが
一番のネックだと
考えていました。

近くのお医者さん
すべて行ったので
遠くのお医者様に
頼るしかありませんでした。

そこで
妖精の先輩に聞くことにしました。

妖精は病気をしないので
直接にはわかりませんが
妖精として
病気に関わった者がいないか
探してみました。

そう簡単には
見つからないと思っていましたが
なんと
十数人の
医師が見つかりました。

でも
近くの
1カ所の
病院を行くにも大変なのに
こんなにたくさんの
病院は回ることなど
できるはずもありません。

星子は
どうしようと
思いました。

星子が
同僚の
妖精から聞いた病院は
近いところでも
名古屋です。

星子は運転免許がないので
車は運転できないし
剛は絶対に運転できないので
新幹線で行くか
タクシーで行くかしか
方法はありません。

今の剛の状態では
病院に行くのも大変な状態ですので
どうしようかと
星子は悩みました。

こんな時
妖精だったら
パッとできるのに
と思いました。

でも
妖精だったら
剛と一緒に入れないし
このまま寝ていても
治る見通しもつかないし
星子は
八方ふさがりの状態でした。

剛に
病院のことを言ったら
剛は
「ありがとう
がんばって行ってみようか。
元気になりたいし」
と言ってくれましたが
星子のことを
考えて
言っているのだと
思いました。

重病人を
連れて行けないので
まず
星子が
行ってみることに
しようと言うことになりました。


地元の
お医者様に
紹介状を書いてもらって
星子は
その翌日
名古屋の病院に
出かけました。





新幹線に乗りながら
星子は考えました。

このまま
剛が死んだら
どうしよう
何とかして
助けられないかしら

神さまにお願いしてみましょうか

やっぱりだめ
だめ

人間のことは
自然の摂理に
従うのが
大事と
いつも神さまは
おっしゃっておられるから
『剛を助けて』なんて言ったって
ダメでしょうね。

でも
剛さんに
もしものことがあったら
私
生きていけないわ

妖精の力を持っていたら
何とかなるんだけど
妖精に戻るためには
剛と別れなければならない

それに
指示もないのに
妖精の力を
剛さんのために使ったら
きっと私が罰を受けるわ

きっとその罰は
最高に罰で
きっと妖精でなくなる罰に違いないわ

昔そんな妖精がいたことを
聞いたことがある

妖精でなくなった妖精は
人間でもないし
すぐに歳を取って
死んでいったそうよね。

でも
剛のいない世界で
生きていっても
それでいいのかしら

妖精は
精神だけのものだから
妖精が死んでしまうことなど
あり得ないことだわ

剛のいない世界で
剛のことを思い出して
ズーと生きていくのよ
そんなこと耐えられないわ

そんなことを考えつつ
名古屋の病院に着きました。

名古屋の病院に着くと
総合案内のカウンターで
剛のことを
話しました。

カウンターの
老練な看護師は
本人がいないと
診察できないと
言いましたが
星子が
強く言うので
電話を
外来に入れました。

少しのやりとりがあって
案内係は
外来を教えました。

それから
数時間待って
お医者様に呼ばれました。

今までの
検査の結果や
症状を
事細かに
説明しました。

お医者様は
詳しく聞いた後
「概ねわかりましたが
診断を確定するためには
もう少し検査をする必要があります。

大変と思いますが
連れてきて下さい。

治療できるかもしれないので
連れてきて下さい。

あなたの熱意に
対して
尊敬します。」と
言ってくれました。

そういわれて
星子は
嬉しくなってしまいました。

そういわれて
飛んで帰りました。

行きは
とてもつらかったですが
帰りは
一寸の光明がみえて
嬉しくなりました。





名古屋の病院に星子が行っていた頃
家では
剛が
お布団の中で考えていました。

「60歳になって
あんな美人の星子さんと
結婚できて
なんて私は運がよいのだろう。

昔の同僚の中では
熟年離婚とか
言っているのに
私は正反対の
幸せ者だ。

訳のわからない
こんな病気になっても
良くやってくれる
星子には
本当にありがたいことだ。

私は
病気があっても
充分に幸せだが
星子はどうなんだろう。

口では幸せと言っているけど
普通に考えると
そんなあるはずものない。

すぐに元気になって
星子を
一杯幸せにするか
元気になれないなら
潔く身を引くか
どちらかを撰ばなければならないのではないか

死んでしまいたいよ。
死んだら
星子は
前の妖精に戻って
何不自由なく過ごせるはず

でも
そう簡単には
この病気では
死ねないみたい。

いっそ
自殺でも
でも
そんな事したら
星子さんは
きっと私を恨むし
後悔するかもしれない

どうするのが私の正しい道なのか」
などと
あーでもない
こーでもない
と考えあぐんでいました。








星子がいない
部屋にひとり取り残されて
淋しくなった剛は
悪いことばかり考えて
それが一層
剛の心を
深く沈めました。

星子が
名古屋から
帰ってきたのは
もうとっぷりと
日が暮れていました。

少し望が見えてきた
星子は
急いで
家まで帰り着きました。

星子が
家を見ると
電気が付いていません。

「剛が出かけるわけがないのに
なぜ電気が付いていないの」
星子は
心配になって
鍵を開けて
階段を上って
「剛さんただいま!」と
大声で言いました。

いつもの部屋から
「おかえり」と
声が聞こえてきて
星子は
ホッとしました。
電気を点けて
剛を見て
さらに安心しました。


星子:
電気も点けずに
どうしたの
それより
良い知らせよ


名古屋の病院は
いいみたい

剛:
星子さん
どういいの

星子:
先生がね
連れてきなさいって

治るかもしれないからって


剛:
えー
そうなの
治るかもしれないの

うれしい

剛は言いながら
少し涙目になってしまいました。






星子は
晩ご飯も用意して
病院に出かけたので
冷蔵庫に
手つかずでありました。

星子:
剛さん
晩ご飯食べていないじゃない

剛:
星子さんを待っていたんだ

ズーと考えていて
本当は食べる元気がなかったのですが
そういいました。

星子:
待ってなくていいのに

早く暖めるから

暖めるんじゃなくて
新しく作りましょうか


剛:
暖めていいよ
星子はまだなの

星子:
まだです。

剛:
一緒に食べよ

そういいながら
星子は手際よく
晩ご飯の用意をしました。

用意ができたので
剛に告げました。

剛はいつもより
少し楽そうに
食卓まできました。

星子:
今日は体調はどう

剛:
今日は少し良いみたい
一進一退だ

星子:
良かった
病院明日にでも生きましょう
少し体調がよいときに行かないと

剛:
星子さんありがとう


星子:
早く治ったらいいのにね

そういいながら
少し話して
早く寝ました。










翌日
早くふたりとも
目が覚めました。

星子は
手際よく
朝ご飯と
お弁当の用意をしました。

星子は
ピクニックに行く様な気分でした。

剛の方は
少しして起きて来ました。

いつもより
少しは気分が良さそうに見えたので
星子は
病気のことは聞かずに
話し始めました。

星子:
おはようございます。

剛:
おはようございます。

星子:
今日は
パンを焼いたの
何を付けて食べる?


剛:
いい香りだね

ピクニックに行くときなんか
よくパンをもっていったよな。

星子:
またピクニックに行くときにも
焼きましょうね。

今日のパンは
クルミ入りだよ

剛:
香ばしくて美味しいだろうね

そんな話をしながら
いつもよりゆっくり
食べて
身支度をして
出かけました。

途中歩かなければならないところは
剛は
少し大変みたいだってけど
なんとか
名古屋の病院に着きました。

受付を済まして
待合室で待っていると
剛の
番号が
ディスプレイに出たので
診察室に入りました。






著者注:
この続きに書いている
医学的なことは
全くフィクションですの
ご容赦願います。


剛と星子は
おそるおそる
先生の前に
進みました。

星子:
昨日はありがとうございました。
早速参りました。


医師:
遠くから
ご苦労さん
さてどうですか

剛は
今までのことを
かいつまんで話しました。

先生から
たくさんの質問がありました。

そうして
医師:
検査をしますので
処置室に行って下さい。

剛:
はい

剛は
星子を
廊下において
処置室に入りました。

看護師が
ベッド上に
横になるように言ったので
背中を丸く曲げて
横になりました。

医師が入ってきて
「脊椎液を調べます。
少し痛いですよ。

我慢して下さい。」と
言って
注射針を
背中に刺しました。

剛は
ぞくっと痛かったです。

医師:
足はしびれていませんか

剛:
いつもと同じしびれています。

医師:
そうですか

もう少し我慢して下さいね


それから
剛にとっては
つらい時間が流れました。


医師:
はい終わりです
ゆっくりと起き上がって
廊下で待っていて下さい。

剛は
ベッドから
やっとこさ下りて
身支度を
して廊下に出ました。


星子:
痛かった?

剛:
少しね

ふたりは
何も言わずに
廊下で
呼ばれるのを待っていました。










数時間
剛と
星子は
廊下で待っていました。

不安でしたが
そんなことは話さず
よいことばかりを話していました。

元気になったら
旅行に行ったりしようとか
昔考えた
段違い階段を
もっと普及しようとか
普及のためには
いろんな方法があるとか
話しました。

廊下には
ふたり以外いなくなってから
数時間経った後
診察室に呼ばれました。


医師:
お待たせしました。

血液検査の結果がでなかったもので
時間がかかってしまいました。

結果なんですが


一呼吸置く医師の話を
食い入るように
ふたりは聞いていました。

医師:
それが
今日の結果だけでは
診察がつかないことがわかりました。

細菌培養をしてみないと
わからないので
一週間後に
来て下さいますか。


それを聞いて
剛と星子は
がっかりしました。

医師の話を要約すると
はじめ医師は
脊髄液圧が上昇して
症状が出ているのか考えていたのですが
しかし液圧が高くないので
感染症かと 
その他のものを
検査中とのことだと言うことです。


剛と星子は
結果がまだわからなかったので
がっかりして
帰り始めました。

帰りの電車の中で
剛は
「悪い方に考えずに
きっと
よいから
一週間後になったと
考えた方が良いのでは」と
星子に言いました。

星子は
「そうだよね」
と言って
急にふたりは
よいことだけを考えることにしました。



妖精のその後

今までのあらすじ

妖精の星子は
神さまの取り計らいで
剛と結婚して
幸せに暮らしていました。

しかし
剛が
原因不明の
病魔に襲われます。

徐々に弱っていく
剛と
それを見守る星子は
お互いの愛・思いやりのために
考え悩む日々を過ごしていました。

最後の頼みとする
病院の結果待ちです。

ふたりは
結果が出るまで
息をこらして待っていました。


剛と星子が
病院から
やっとの思いで
家に帰り着きました。

お互いに
笑顔で
明るく振る舞っていましたが
剛の疲れは
極に達していて
それがわかる
星子の思いは
表現できないくらい
落ち込んでいました。

剛は
転がるように
ベッドに横たわり
寝入りこんでしまいました。

星子は
こんな結果になって
がっかりしてしまいました。

星子は
「妖精だったら
その力で
何とかなるかもしれないし
妖精の力で出来ないことなら
神さまに
お願いすることも出来るのに
神さまにお願いして
妖精に戻れないだろうか」と
考えてしまいました。

「でも
妖精に戻ったら
二度と
剛に会えないし
もうどうしたらいいのかしら
と考えて
考えて
、、、、、、、
、、、、」
良い考えなんか出ませんでした。


方や
剛は
うつつの中の
しんどいところで
「もう私の病気は
回復することはあり得ない
少なくとも
星子さんを
幸せにすることなど
出来はしない。

なに不自由ない
妖精から
私のような
老いぼれの
世話をさせて
そんなことで
星子さんを縛るのは
あまりにもかわいそうだ」と
思っていました。

「星子さんを
開放するためには
私が死ぬしかない。

自殺などすれば
星子さんに
より心の重荷を背負わせることになってしまう。

明日の朝起きたら
自然に死んでいたらいいのに
、、、、、、
、、、、、
、、、、」


ふたりは
夕ご飯を
笑顔で
問題のない
ことばかり話していましたが
ふたりの心には
明日はありませんでした。



夕ご飯後
剛は
体を拭いて
ベッドに再び寝入りこみました。

星子は後片付けをして
剛が
お風呂に入らないので
星子も入る気がしなくて
剛の横の
ベッドに入りました。

星子は
寝付けませんでした。

遠くまで行って
疲れているのに
目がさえて
眠れないのです。

寝返りを打ったりすると
剛を起こしてはいけないので
静かに
横になっていました。

二時間しても
眠くならないので
ソーと
起きて
剛が元気なときには
寝ていたロフトに
上がりました。

天窓を
静かに少しだけ開けて
頭を出して
夜空を見上げていました。

「そうよね。
私って
流れ星の精なんですよね。

神さまの命で
願いを叶えたことも
あったよね

流れ星が
流れている間に
願いを言ったら
叶えるというのが
人間界の
常識らしいけど
それは
違うんですよね。

神さまが見ていて
一番
叶えて上げたいとう人を
私たちに
命じるみたいですよね。

その基準は
よくわからないけど
そうなんですよね。

『人間界のことは
万物の法則に
従う』という
決まりの例外を
私たちは
してるんですよね。

ということは
私は
今は人間
流星に
お願いしたら
剛は
元気になるかもしれない。」
という
考えに至りました。

流星の精の
星子が
万策尽きて
そんな風に考えたのは
当然の結果です。

真剣に
夜空を眺めました。

眺めたというか
凝視したのです。

何時間が過ぎたでしょう。

今日はクリスマスイブの夜
星子は
真剣に
願いました。



剛は
隣のベッドに
星子がいないことを
星子がいなくなってから
しばらくして
わかっていました。

そのあと
冷たい空気が
上から下りてきたので
ロフトの窓が開けて
空を見ていることが
わかっていました。


剛は
「流れ星の精の
星子が
きっと私のことを
神さまにお願いしているのだ」と
理解していました。

剛は
うつつの中で
「星子さんを
自由にさせるために
私を早く
死なせて下さい。

私さえ
自然に死んでしまえば
星子さんは
また
妖精に戻って
自由に生きられる
そして
もっと
他の人間のために
妖精に戻って下さい。

、、、、、、
、、、、、

、、、、、、」










ふたりの願いは
果てしなく続きます。

そして
ロフトから
朝日が
入り込む
時間が来たとき



一晩中
見ていましたが
星子は
流れ星に
願いを
かけることは
残念ながら
出来ませんでした








遠く離れたところか
すぐ隣かもしれないところで
神さまは
星子と
剛のことを見ていました。

もちろん
はじめから
終わりまで見ていました。

『人間界のことは
万物の法則に
従う』ということで
何もせずに
していたのです。

星子の思いと
剛の思いは
痛いほどわかるのですが
神さまは
その重責を
果たすためには
私情を
捨てることが
必要だと
思っていたのです。




















明日
最終回です。
剛と星子の運命は
どのようになるのでしょうか。




星子が
流れ星に願いをかけていた頃
神さまはもちろん
星子のことを考えていました。

剛の命が
長くないことも
分かっていました。

「星子の気持ちは分かる
剛の願いもわかる

しかし
剛の願いを叶えることは
『人間界のことは
万物の法則に
従う』
におおいに反する。

星子の願いを叶えることは
もちろん
『人間界のことは
万物の法則に
従う』に反する

星子が
妖精に戻るという願いは
神の裁量権だ

星子が
剛の命を
妖精の力で
ながくすると
妖精の服務規程に違反して
懲戒処分としなければならない


それに
星子は
まだ経験の浅い妖精だから
命を長くすることなど
出来る力はない


そんな大きな力を持っているのは
チームAに属しているものでないと
そんな事はできはしない。


じゃ
どのようにこの問題を解決すべきか」

神さまは
悩みました。

こんな難しい問題は
チームAを
卒業した湖子に
まかしてみようと
考えました。

湖子は
何万年前から
妖精として働いていた
湖の精です。

輝かしい業績を
いくつもあげたので
神さまと並ぶ
地位を持っていました。

神さまがそう考えた瞬間
湖子は
星子の前に現れました。

星子は
人間になっていたので
湖子は
人間になって
星子の前に現れたのです。


湖子:
星子さん久しぶりね。

星子:
あっ
あなたは
湖子様ですか。
今は私は妖精でないので
はっきりとはわかりませんが
昔研修の時に
ご講義頂いた
湖子様の
オーラと
似たものを感じます。

湖子:
若いのに
さすが
今は人間なのに
私のことが分かるって
相当
優秀な
妖精ね

星子:
湖子様
湖子様は神さまのお使いで
お越しになって下さったのですか。

私はどうなっても良いので
剛さんを
助けて下さい。

湖子:
神さまからは
何も聞いていない

神さまは
何も決めていません。

私に
まかされています。

でも
私は

『人間界のことは
万物の法則に
従う』ということと
妖精の倫理規定に
従わなければなりません。

私の力で
剛の命を延ばすのは出来ません。

星子さんに力を貸して
同じようなことをすることも出来ません。


星子:
私の願いは
無理なのは分かっています。
私は
もう
妖精に戻らなくても良いです
剛さんを助けて下さい。

湖子:
剛さんは
そうは願っていないようですよ

あなたは
剛の心が
読めないのですか
今は人間でも
剛の心が
読めるでしょう

剛さんは
あなたが妖精に戻れなくなったら
どんなに悲しむでしょう

星子:
じゃ
私は
どんな風にすればいいのですか

私は
剛さんが
弱っていくのを
看ていかなければならないのですか


湖子:
そうです。

今あなたは
力のない
人間なんです

人間である以上
死ぬのは避けがたい
事実です。

あなたは
それを
受け入れなければなりません。

星子:
人間には
避けがたい
ものなんですか

私も
人間として
生きていくので
剛と一緒に
死にます。


湖子:
あなたは
優秀な妖精です。
人間のまま
死ぬことなど
神さまは喜ばないわ

剛さんとの結婚生活が終わったら
妖精に戻る約束よ

星子:
神さまの
おこころざしは
ありがたいけど
私は
剛さんを選ぶわ



湖子:
そこまで
剛さんを
愛しているのね

私
うらやましいわ

私は
数万年このお仕事をしていますが
そんなこと思ったことはないわ

じゃ
分かりました。

星子:
じゃ
私を人間にして頂いて
剛と一緒に
死んでいけるのですね

湖子:
そうじゃありません

星子:
何もないのですか

湖子:
そうでもありません

剛を
妖精にしましょう

妖精になって
ふたりで
神さまに
仕えなさい

妖精として
ふたりで働けば
良いのよ

人間も
共働きというのがあるのだから

じゃそのように
神さまに連絡しておきます。

そういって
湖子は
消えてしまいました。

ロフトで
湖子と
星子が
心の中で
話し合っていたのですが
下の剛には
全く分かりませんでした。

湖子が消えてから
小一時間たった頃
急に辺りが
明るくなって
古風な服装をした人物が
立っていました。

星子には
その人物が
妖精の課長と
分かっていました。

課長:
私は
神さまの命で
こちらに来ました。

星子
剛
あなた方ふたりは
ロフトの精として
妖精になりなさい

そして
神さまの手足となって
働きなさい

剛は
課長が
突然現れて
びっくりしました。

間髪を入れず
剛の方に
光が走りました。

剛は
すべてが分かりました。









この後
星子と剛は
この家から
突然
いなくなりました。

ふたりは
仲良く
妖精として
働き始めました。

もちろん
星子が先輩で
剛は
見習いの妖精で
あまり役に立ちませんでしたが
、、、、、、、、
、、

























クリスマス特別企画 妖精のその後 その15
終わります。





妖精のその後
如何でしたか。

私の病気が
モデルです。

普通私のブログ小説は
筋書きを考えて
書き始めています。

結末まで
はじめから考えていますが
これについては
考えていなかったのです。

それでながらく
休んでいたのですが
クリスマスが来たので
無理やり
ハッピーエンドにしてみました。

剛と
星子は
歳をとらない
妖精になったので
永遠の愛になってしまいました。

この続きは
またいつの日か
私の命があれば
書いてみたいと思いますが
少し無理かもしれませんね。