アスカルは心細く ケージの中で 過ごしていました。 アスカルは 小さいので また犬ですから このまま 飼い主がなかったら どうなるかなど わかりはできませんが なんとなく ただならぬ事は わかったかもしれません。 何人もの 人が アスカルを見に来ましたが 決まりませんでした。 雑種という 問題もあったのかもしれませんし 大きくなって 仔犬としての かわいらしさが 不足していたのかもしれません。 いずれにせよ 仔犬の時期を アスカルは ひとりで過ごしたのです。 群れとして 母親と一緒に過ごす 仔犬にとっては それはそれは 大変な試練だったと 私は思います。 そんな経験が アスカルの 大人になってからの 性質・気質大きな 影を落とすことになるのです。 一方 アスカルの 一生の 飼い主となる 人間は もちろん私ですが、 すこし この時間より 遡ったところから お話し致します。 アスカルが ケージの中で 飼い主を待っていたときから おおよそ 3年前の 時まで さかのぼります。 1995年の正月 私は 大恩ある母親と 私にとってはかけがえのない女房殿 そして 最愛の息子と娘そして一番下の息子 の五人家族でした。 穏やかの 正月で 娘が 犬を飼いたいと 言っていたのです。 私は 番犬にもなるし 飼ってみたいと思っていました。 正月休みには ペットショップ屋さんに行って 飼いたい犬はいないか 見ていました。