ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの71歳の老人の日記です

ブログ小説「超幸運な男」その65

電話をしましたが
呼び出し音ばかしで
誰も出ません。

携帯電話が
普及していないこの時期
家にいない
連絡のしようがありません。

郁恵は
電報で知らせたらと
思いつきました。

映画で見たことあるというのです。

そう言えば
昔
勝は
「チチキトク」の電報を
受け取ったことがあります。

丁度電話局にいるので
電報を打ちました。

そのあともう一度
電話をしました。

でも通じませんでした。

残念な結果でしたが
充分努力したので
一応満足しました。

郁恵は
父親と弟が心配なので
待ち合わせ場所になっている
隣の小学校に行きました。

避難所には
父親はいませんでしたが
近所の人がいたので
聞いたら
買い出しに
大阪の方に行っているそうです。

近所の方と
たき火を囲んで
郁恵が話していると
父親がたくさんの荷物を持って
帰って来ました。

水とかガスボンベとか
缶詰とかを
たくさん買ってきたみたいです。

父親と話しました。

父親の言うには
「弟は
病院に入院して
何とか住める。

お前は
もう
勝さんと
一緒に住んだ方が良い」と
言うのです。

不自由な
避難所よりも
勝さんの家の方が
住みやすいだろうというのですが
郁恵のことを
あんなに心配して
助けてくれたことが
父親の考えを
変えたのです。

郁恵は
涙が出ました。

父親も
一緒に住めないか
勝に頼んでみることにしました。