ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの68歳の老人の日記です

長編小説「昭和」その66

おますが手伝った最初に日
前掛けに
いつもの野良着
わらじのいでたちです。

結婚するまで
男たちと同じように
田んぼを耕していたので
体力には
自信がありました。

亀太郎と
おますは
声を掛け合うこともなしに
大八車を
西宮に
向かって進み始めました。

夜も明けあらぬ
未明です。

暗い道を
何も乗せていない
大八車は
西宮へ
急ぎました。

冬の朝は
遅く
着いた時も
薄くらいでした。

井戸番に
手形を出してから
井戸から水を
汲み上げて
桶に
入れました。

浅い井戸ですから
すぐに
一杯になって
蓋をして
今津に帰り始めました。

その日は
天気が続いていたので
道は乾いていて
車輪を
取られることも少なく
1番目の川までやって来ました。

川は
天井川で
坂を上らなければなりません。

おますは
大八車を力一杯押しました。

亀太郎は
その力を得て
サッと上ることができました。

2番目の川も
サッサと乗り越え
木の橋を
渡り
坂道を
走るように
下りていきました。

亀太郎も
おますも
大八車に
付いていきました。