ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの71歳の老人の日記です

長編小説「昭和」その67

坂を下りて
しばらく
草の生えた
地道を
進むと
酒蔵に着きます。

酒蔵で
水を下ろして
大福帳に記入してもらって
新しい手形をもらって
もう一度
西宮の井戸に向かいます。

亀太郎は
おますを見ました。

肩で
息をしていて
少し疲れているように
見えました。

黙って
大八車の後ろを
押していました。

亀太郎ひとりの時より
早いことだけは確かです。

それに楽です。

坂を上る時など
本当に楽でした。

亀太郎は
大八車の
後ろを
押したことがありますので
相当
おますは
疲れているだろうと
思っていましたが
何も言いませんでした。

二度目の水を運んだ時には
まだ昼にはなっていませんでしたが
お昼にすることにして
家に帰りました。

外で
ふたりは
手足をゆすいだときに
亀太郎は
「疲れた」と聞きました。

おますは
「疲れていません」と
少し笑顔で
答えました。