ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの71歳の老人の日記です

ブログ小説「スポンジケーキをつくりたい」その33

社長や松井は
これで大丈夫と思いました。

しかし正子は
何か不安でした。

蓋の
非接触型歯車が
何か
不安なんです。

よくわかりませんが
不安なんです。

正子は
キスワンで
さんざん失敗していたので
そう思ったのかもしれません。

胸騒ぎがしたのです。

「なにか不安」と
松井に言っても
「それは
杞憂というものだよ」と
笑って答えました。

正子は
時々
キスワンの実験をしていました。

その間
特に新しいことの発見は
ありませんでした。

そして年末
餅の時期なので
前にもやった
餅を
実験材料にして
キスワンを
実験してみることにしました。

餅米を
蒸し器で蒸して
キスワンの
攪拌槽入れました。

冷めないように
保温の設定をしていました。

こねる攪拌子を付けて
加圧して
混ぜはじめたのです。

1分経過したとき
嫌な予感が
的中して
ガタンと
小さな音がして
キスワンが止まってしまいました。

正子は
血の気が引きました。

少しぼう然となっていましたが
キスワンを
よくみてみました。

キスワンの
モーターは
過負荷安全装置が
働いて
止まっているようでした。

電源を切りました。

非接触型歯車部分が
持ち上がっていました。

2cmほど持ち上がって
歯車ユニットの
鉄部分に
非接触型歯車の磁石が
引っ付いていたのです。

歯車ユニットの貫通穴を
貫通している
非接触型歯車の軸は
歯車ユニットに
キー(機械要素のひとつで
軸の回転を伝えるためにつかいます)で
固定されているだけです。

回転に対しては
キーで固定されているが
軸方向には
固定されていなかったのです。

そのため
負荷が大きくなると
非接触型歯車の
N極とS極で引っ張っているのが
少しずれて
N極とN極になって
反対に反発しあって
大きく
離れてしまったのです。

正子は
その軸を
押してみることにしました。

出っ張ったものなら
引っ込むかも知れないと
考えたのです。

相当大きな力で
エイと
押しました。

そうしたら
ガタンと
また音がして
元に戻りました。

株式会社プロスパインに
電話をして
そのことを
伝えると
向こうの担当者は
「そうですか。

そんなことは
起こるかも知れませんね。

また蓋を送って下さい」と
言うだけでした。

正子は
今度は
正子が
対処しようと
思いました。

社長に
もう
こんなことを
伝えられないと
思ったのです。