母親は わからぬような顔をして 「そんな事ないでしょう。 私は いつも 兄弟同じように しているわよ」と 答えました。 「えっ」と 由美子は叫んだように 思いました。 「思い過ごしなの そんな事ないでしょう。 あれは事実だ」と 思いもう一度 言ってしまいました。 「私は そんな風に思わないんだけど 差はあったでしょう」と 強くいいました。 母親は 兄をつかまえて 「お前と 由美子で お祝いの仕方が ちがった? そんな事ないでしょう」 と 言うと 兄は 「僕の方が 厳しかったように 思うけど 由美子は そんな風に思っていたの 知らなかった- 高校時代に 『大学に行かない』と 言った時には 学資を用意していた お母さんは 相当がっかりしていたようだった と思うけど」と 答えたのです。 由美子は 『自分は期待されていない』と 思っていたけど そうでなかったのかもしれない と思いました。