ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの71歳の老人の日記です

ブログ小説「妖精の休日」その44

湖子と和己は
学年がひとつ進んで
3年生になりました。

3年生になると
薬学部特有の教科が始まります。

そのひとつに
生薬学があります。

動植物鉱物をお薬として
使う学問で
数千年を経て
論理的というか
観念論的になっている
学問です。

論理的や観念的な部分は
別にして
生薬は
時として高価だったり
偽物が
出回ることが多いのです。

湖子が通っていた
大学には
生薬の判別
特に
植物性のものに
卓越した教授がいて
生薬学を受け持っていました。

何回かの授業のあと
生薬判別試験というのがありました。

生薬を見て
元来の植物の学名と
和漢名を答えるという物です。

80の生薬から
20が無作為に選ばれ
半分当たらないと
再試験ということになります。

普通の学生は
2回以上受けないと
まず通らないという
難問です。

なにしろ
学名が
ラテン語で
まったく分からない
音の羅列で
それが
覚えられないのです。

湖子は
全知全能ですし
能力を使わなくても
ラテン語が普通に話されていた
ローマ帝国にも
よく仕事で出掛けたので
その意味が分かりました。

もちろん
発音もいいし
満点でした。

そこで
教授は
湖子に
研究室に入るように
説得してきたのです。