ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの68歳の老人の日記です

小説『冴子』震災部分その1

時は経て
平成7年の正月になりました。

倫子と勇治は
この年
45才になります。

前年より
勇治は
膝の具合が悪かったので
正月は
厄落としに
神社参りでもしようかという話しになりました。

西宮の
門戸の厄神さんに
ふたりで参ることにしました。

湊川から
電車に乗って
西宮北口に行って
乗り換えて
門戸厄神で降りて
少し歩いて行きました。

正月と言うことで
多くの参拝者がいました。

警察官が
人数を
数えていました。

お参りして
破魔矢を買って帰りました。

勇治は
「これで今年は
大丈夫」と
言って
正月明けから
がんばって
パンを作っていました。

神社に参った成果かどうかわかりませんが
商売は
繁盛しました。

倫子も
今年はいい年になると
思っていました。

成人式の日は
どういう訳か
パン屋は大繁盛
品切れになって
しまいました。

3人で
大喜びしました。

翌日は
少し早めに行って
多めに作ろうと
いう話しになりました。

翌日は
平成7年1月17日でした。


勇治は平素より少し早い
4時に家を出て
自転車で
店に向かいました。

河本さんも
6時前には
出勤するということになっていました。

普段よりも
たくさん作ってみるということです。

倫子も
家の用事にを済ませて
店に向かいました。

自転車が
パンクしていたので
厚手の
コートを着込んで
歩いて
パン屋に向かいました。

途中運河を越えてるために
橋を渡っている時
突然
三度下から突き上げられました。

倫子は
体が突き上がる
一瞬宙に浮きました。

そのあと地面にたたきつけられるように
倒れてしまいました。

それから
2度
同じように
浮き上がり
そのあと
横揺れが来ました。


地面に
横たわって
頭を上げて
見ているのがやっとでした。。

橋の向こうの
建物が
グシャッと
潰れて
土煙が上がりました。

宙に浮き上がりながらも
倒れながらも
店の方を見ていました。

いつも見慣れている
橋の向こうの
木造の長屋が
最初の揺れで
一瞬にして
グシャッと
2階建ての建物が
屋根だけになって仕舞ったのです。

また
その向かいの
3階建てのビルが
最初の揺れで
道路側に
倒れていきました。

付近に土煙がまわって
倫子に
破片が
鋭く
飛んできました

そのあと
停電して
付近は真っ暗闇になって
何も見えなくなってしまいました。

 

揺れがながく続いたのか
それとも一瞬なのか
あとになって
倫子は
思い出せませんでした。

真っ暗の中
倫子は
立ち上がりました。

腰を打ったのか
少し痛かったのですが
冬で
たくさんの服を着ていたし
革の手袋と
ブーツを履いていたのが
後々役に立つのです。

揺れがしばらくの間
おさまったのですが
当たりは真っ暗です。

倫子は
停電して
街灯がすべて消えた時に
そんな風になるとは
全く知りませんでした。

お月様は満月を少し過ぎたくらいですが
地震の起きた
6時前には
月の入りがあったのか
それとも
雲が出ていたのか
わかりませんが
月明かりもなく
真っ暗でした。

その時
ハット気付きました。

勇治は
店にいるのです。

勇治は
大丈夫か
心配になりました。

停電になるまでの一瞬ですが
付近の家が
潰れるのが見えました。

店も潰れたに決まっていると
思って
心配になりました。

何が何でも
店に行かなければなりません。

いつもの道は
もう通れないように思いました。

川沿いの道を
北に行って
国道に出るしかないと思いました。

川沿いの道も
破片が散らばっていて
気ばかり焦って
進めません。

 

 


以下の
地震の描写には
私の記憶違いのため
間違いがあるともいます。

間違っておりましたら
メール下さい。

悲惨な描写があると思いますので
あらかじめ了承下さい。

 


倫子が
やっと
国道まで出ると
悲鳴やうめき声が聞こえてきました。

国道沿いには
頭から血を流した人や
倒れ込んだ人
その人たちを取り囲んで
人垣ができていました。

大きな声で
『助けて上げて』と
叫び声も聞こえました。

そんな光景を
薄明かりで見ながら
胸騒ぎがしました。

パン屋のお店は
大丈夫か
本当に心配になりました。

店の近くまで着いた時
唖然としました。

駅まで行く道が
がれきの山です。

道に
瓦屋根が
横たわっているのです。

普通はすぐそこに見える
パン屋の看板が見えません。

倫子は
屋根乗り越えていきました。

近くでは
屋根の瓦を
めくって
人を探している
女性や男性が
いました。

その女性は
朝日に照らされて
頭が
赤く染まっているのが
見えました。

倫子にも
大きな声で
助けを求めてきましたが
「店が」と言って
通り過ぎました。

そして
たぶん店のあったところまで
来た時
すべてがわかりました。