ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの68歳の老人の日記です

小説『冴子』震災部分その3

私どもでは朝日新聞を取っていますが

今日の夕刊に震災時のことが書いてありました。

『妻が足下で火にのまれた』と、、、、、、、、

『冴子』の小説の中にもそのように

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後ろの方からです。

振り向くと
60才ばかしの老夫婦と
屈強の若者が
ふたり
立っていました。

「私
河本です。

娘は
娘は
どこにいますか」

大声で
倫子に言っているのです。

4人は
心配そうな顔で
倫子を
見ていました。

河本さんの
家族であることは
会ったことはなかったけど
すぐにわかりました。

向こうも
倫子が
パン屋の奥さんだと
わかったのかもしれません。

「娘は
この中にいるのですか。」と
ヘリコプターの
音にも負けないくらいの
大きな声で
叫んできました。

「6時に来た時
勇治
主人の声が聞こえたようにおもいます。

よこで
女性の
うめき声のようなものも
聞こえたと思います。

今は
ヘリコプターがやかましくて
わかりません。

この下に
ふたりは

、、、、」
と答えました。

それを聞いた
4人は
手伝い始めました。

そして母親らしい女性が
「奥さん
私たちが掘ります。

休んで下さい。

一服して
昼ご飯でも
食べて下さい。」と
言ってくれました。

倫子は
そう言われても
がんばっていました。

母親と
その息子が
少し
後ろに下がらせて
休ませました。

「大丈夫だから」という
奥さんに
「早く助けなければ」と
倫子は
立ち上がろうとしました。

でも
よろけて
座り込みました。

母親の持ってきた
おにぎりと
暖かい
お茶を飲みました。

涙があふれてきました。

そんな間も
余震が
揺れ
そして
あちこちから
最悪ですが
煙が上がり始めたのです。

食べたあと
がれきの後ろに隠れて
用をたしたあと
掘り始めました。

4人が加わって
穴はみるみる大きくなって
店の
床まで
少しのところまで
がれきを
取り除けました。

他にも
見ず知らずの人が
ふたり
ツルハシとスコップを持って
救助に加わってくれたのは
午後2時をまわった頃でした。

もう少しというところまで来ていたのです。

しかし
もう火の手が
近くまで来ていました。