彼は
振り向くと
彼女が立っていました。
「となりの席座っても良い」と良いながら
既に座っていました。
「今日は
抗がん剤治療の予定日ではないのでは」と
彼は聞きました。
彼女:
予定ではないけど
来てしまったの
彼:
来てしまったというのは
私に何か用事でも
彼女:
用事はないけど
来てしまったの
今日は何もないし
ガンになって
会社では
閑職なもんで
仕事がすぐに済んでしまうの
家にいても
ひとりで
気が滅入るし
どこかに出掛けようと思ったけど
今まで仕事ばかりしてきたので
遊ぶところって
行ったことがないし
病院にでも行って
あなたと
お話しでもしたいと思って
彼:
何の話しを
彼女:
何の話しって
別に決めていないわ
お酒でも飲んで
騒ぎたいんだけど
お互いに
病持ちだし
そんな事もできないので
病院の食堂で
お話しでもしましょう。
話題は
一杯あります。
なんてったって
私は
営業の一筋に
仕事をしてきたので
飽きさせないわ
彼:
そうなんですか
でも
私は
、、、、、、
彼女:
用事があるんですか
キャンセルできないんですか
美人の私が
頼んでいるのに
彼は
自分のことを
美人と言っていることに
感心しました。
彼女は
確かに
世間的には
美人かも知れませんが
彼は
特に
そう、、、
特に
美人とは
思ったことがないと
自分に言い聞かせました。
そこで
彼は
用事があるから
帰ると
言いたかったのですが
「キャンセルします。」と
言ってしまいました。