ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの71歳の老人の日記です

短編小説 「茶髪男と黒髪女の恋」その20

翌日の日曜日は、
肌寒く一日中雨の降る日でした。
次郎とあずさは
皮肉にも
同じように相手の所に行くことになったのです。

次郎は前の日から
切符を買って用意をしていました。
7時2分のサンダーバードで金沢に出発しました。
電車から見える
雨の景色は
何かもの悲しく
今日は会えないということを
予感させるようでした。

一方あずさの方は
前の晩考えすぎて
少し寝過ごした上
身支度に手間取っていました。

それに
それに親友が言った
「茶髪にしたら、、、」
と言う忠告が
気になっていたのです。
それで思い切って
茶髪にするために
時間がかかってしまいました。

10時頃にやっと髪が乾いて
金沢出発です。

雨の中
この前の服と同じワンピースを着て
出かけました。

傘を閉じて
マクドナルドの横を通り過ぎて
エスカレーターに乗って大阪に向かいました。

そのとき次郎は
園田駅を下りて
マクドナルドの角を
同じように曲がったのです。

あずさは急いでいて
前しか見ていなかったけど
次郎は
初めての園田なので
きょろきょろ
付近を見渡しながら
歩いていました。

次郎は
マクドナルドの角で
あずさを見ていたのです。

あんなに会いたかった人が
急いではいたといえ
直ぐそこにいたのです。
でも見つけられなかったのです。

あずさが
茶髪に変えていなかったら
見つけていたに違いありません。
本当に残念なことでした。

次郎は
インターネットを印刷した地図を持って
線路伝いに
あずさの住んでいるであろう
アパートに向かいました。

アパートは
川のそばにあって
静かな場所でした。

郵便受けを見て回りましたが
あずさと書いているポストなど
ありませんでした。

普通は女の人は
表札自体を出さないし
ましてや
下の名前まで
書くわけがありません。

あずさは
それらしいお部屋を
外から見ていました。

そんなことをしていたので
不審に思った人が
こちらを
じろじろ見ていました。
雨の中じっと
立っていたら
不審者と思われても仕方がありません。
これはいけないと
先輩から聞いたように
マクドナルドで
ひたすら
あずさを捜すことになるのです。

次郎は
あずさから
勤務は独自のカレンダーがあって
大体は5日ごとに
休みがあると聞いていました。

そんなことを考えると
この日曜日は
きっと勤務の日で
ここで待っていたら
きっと園田駅から
大阪に行くか
大阪から帰ってくると
考えていたのです。

マクドナルドで
ハンバーガーを買って
外が一番見える席に
座りました。
朝の11時頃からです。

何時間待っても
あずさはもちろん
通り過ぎません。

トイレに行くの惜しんで
ハンバーガーを
ちょっとずつ食べていきました。


一方あずさは
園田で
次郎とすれ違ったことが
わからず
サンダーバードに乗って
金沢に着いたのは
1時頃でした。

それから
住んでいると思う
淺野川の近辺を歩き回り
それから金沢駅近くを
歩きながら
次郎を探し回りました。

勤め先と考えられる工場を
レンタカーで
見て回りました。
でも日曜日は
門も閉まっており
終電まで
金沢駅周辺を見て回りました。