ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの68歳の老人の日記です

短編小説 「茶髪男と黒髪女の恋」その23

その日の朝は
ちょっと肌寒かった。

あずさは
少し早く起きて
念入りに身支度をして
それから
部屋を一層
片付けて
出かけました。

一方
次郎は
先輩に言われていたけど
髪を染めてから
午前中の仕事に出かけました。

仕事を
てきぱきと片付け
昼ご飯も食べずに
園田に着ました。

例によって
マクドナルドで
ハンバーガーを買って
例の場所に
座りました。

店の人は
3日目なので
よく覚えていて
不審な目で
見ました。

そこで
夕方の5時まで
居るつもりでしたが
店員が不審の目で見るのと
何か予感がしたので
外で待つことにして
3時頃には
エスカレーターの前で待っていました。

あずさは
早出で
3時には勤務あけですが
来週は休むことになっていたので
4時まで
働きました。

4時なると
アパートに急いで
帰りました。
園田駅を下りたとき
何か予感がしました。
改札を出て
エスカレーターに乗って
下りていくとき
辺りを見渡しました。

次郎の姿が
前に見えました。
あずさは
一瞬電気が走ったような
ビッビッという感じがしたのです。

考えることなくあずさは
エスカレータの中間から
次郎の所に走りました。

かたや
次郎は
エスカレーターから
下りてくる
あずさを
瞬時に探し出していました。

あずさが
走り出す前に
次郎は
走り出していました。

ふたりの距離は
30mもありませんでした。
その距離を
お互いに走ったので
見つけてから
ふたりが
抱き合うまで
ほんの
数秒です。

人通りが
割とある
園田駅ので
人目も気にせず
抱き合ったので
みんなびっくりしました。

マクドナルドの例の店員も
それを見て
そうだったのかと
納得した次第です。

ふたりは
抱き合った後直ぐに
お互いに
両手をつないで
顔を
見合わせました。

そして
笑い出したのです。
会えた嬉しさから出たのか
それとも
お互いに髪の毛の色を変えたことが
原因だったのでしょうか。

少しの間
両手をつなぎながら
笑っていたのですが
あずさは
言いました。

「そうだ
ロフトから見える
夕日が美しいだよ。
早く帰らなきゃ
見えないよー
早く帰ろー」という
あずさの声を聞いて
次郎も
「急がなきゃ」
と答えました。

ふたりは
電車に急いだときと同じように
手をつなぎながら
アパートまで
急ぎました。

途中にある
信号も
うまい具合に青で
一気に渡り
アパートまで一直線でした。

アパートの階段を同じように
手をつないで
駆け上がり
あずさの部屋の前に行きました。

あずさは
これだけは慎重に
チャックを開けて
ドアの鍵を
取り出し
ドアを開け
靴を急いで脱いで
ロフトに上がりました。

ロフトの天窓を
引っ張って
開け
西の方を見ると
夕日で
六甲の山並みが
シルエットになっていました。

次郎は
あずさの肩に手を掛け
あずさは
次郎の腰に手を回して
抱き合って
西日を見ていました。

段々と
太陽が
山並みに隠れて行くと
空が
上の方から
青みが増しました。

空が
稜線赤から
空の青まで
きれいに
グラデーションで
飾られました。

あずさ:
「会えて良かった。
次郎には言わなかったと思うけど
今日は私の誕生日なの
今日会えるなんて
運命なのかな」

次郎:
「おめでとう
今日の朝
起きたときに
何か特別の日な様な気がしたんだ。
君と会えるような気がしたんだ」

と言いながら
それから
ふたりは黙って
もっともっと暗くなるまで
西を見ていました。