転勤になるその前日
尼崎工場に行きました。
経理課長に
転勤の挨拶です。
それから
敬子に
会いに行きました。
敬子は
今も
経理課で勤務しており
十年一日が如く
伝票の整理と
計算です。
敬子:
お久しぶり
十詩子
いや
今は課長さんかな
十詩子:
そんな
敬子元気だった。
敬子:
元気だよ
十詩子がいなくなって
なんか寂しいよ
専門学校に行ったときが懐かしいね
十詩子:
もう
4年もなるね
敬子:
そうだね
悟さんとは
その後
どうなっているの
十詩子:
いつもと同じだよ
仲良くしているよ
敬子:
結婚の約束した?
十詩子:
まだまだ
悟さんまだ学生の身だから
敬子:
悟さんとはどこまで行ったの
十詩子:
どこまでって
どこまでって何?
敬子:
十詩子何言ってるのよ
十詩子もう23歳でしょう
そんな かまとと ぶらないでも
どこまでよ
十詩子:
どこまで?
話するぐらいだよ
敬子:
エー
5年も付き合っているのに
話するだけ
手ぐらい繋いだでしょう?
十詩子:
そう言うと
昔手をつなぎました。
でもあれっきりじゃないかな
敬子:
そうなの
それじゃ
友達じゃないの
十詩子:
そうだよ
私たち友達だよ
敬子:
恋人同士じゃないの
十詩子:
そうね
そうだよね
恋人同士だよ
敬子:
どっちなのよ
十詩子:
恋人同士だと思います。
いえ
恋人同士です。
敬子:
そんなんで
東京と大阪に別れ別れになって
大丈夫なの
十詩子:
わたし
悟さんを信じているから
敬子:
信じているだけで良いの?
本当に大丈夫
私心配だよ
敬子は
自分のことのように
心配してくれました。
そして翌日
5年間住んでいた。
尼崎駅前のロフトのお部屋を
引き払って
東京に引っ越して行く日になりました。