けいは 武蔵が来る日は 学校から走って帰りました。 体操(今の体育)が苦手な けいでしたが その日は 息切らして 走り込んでいました。 ひととき遊んだ後 武蔵が帰るのを 見えなくなるまで 見送っていました。 千代の家に 武蔵が帰ってきてから 勇治が来なくなって 家の家計は 少しばかり ゆとりができました。 けいにも お小遣いが与えられることも ありました。 けいは お小遣いとしてもらった 1銭のお金を 握りしめて 駄菓子屋で お買い物をするのですが あーだあ こーだあ と迷ったあげく 結局何も買わずに 貯めておくことも よくありました。 こんな貧しい生活の 千代とけいでしたが 勉強のための お金は 何とかして工面をしたのです。 食べるものを食べずとも 勉強は大事に思うことは 精兵衛から受け継いだ 伝統だったのです。