ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの68歳の老人の日記です

妖精のその後 その9

名古屋の病院に星子が行っていた頃
家では
剛が
お布団の中で考えていました。

「60歳になって
あんな美人の星子さんと
結婚できて
なんて私は運がよいのだろう。

昔の同僚の中では
熟年離婚とか
言っているのに
私は正反対の
幸せ者だ。

訳のわからない
こんな病気になっても
良くやってくれる
星子には
本当にありがたいことだ。

私は
病気があっても
充分に幸せだが
星子はどうなんだろう。

口では幸せと言っているけど
普通に考えると
そんなあるはずものない。

すぐに元気になって
星子を
一杯幸せにするか
元気になれないなら
潔く身を引くか
どちらかを撰ばなければならないのではないか

死んでしまいたいよ。
死んだら
星子は
前の妖精に戻って
何不自由なく過ごせるはず

でも
そう簡単には
この病気では
死ねないみたい。

いっそ
自殺でも
でも
そんな事したら
星子さんは
きっと私を恨むし
後悔するかもしれない

どうするのが私の正しい道なの」
などと
あーでもない
こーでもない
と考えあぐんでいました。