ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの68歳の老人の日記です

ブログ小説「ロフトに住むレジ係」その22

張り紙は
弁護士の名前で
破産どうのこうのと
書いてありました。

初めて
見たのでわかりませんでした。

加代美は
IDカードで
事務所に入ろうとしたのですが
ビーと音が鳴って
鍵が開きません。

加代美は分からなくなって
しばらく扉の前で
待っていましたが
誰も出社してきません。

それで
加代美の
部下の
女性に
メールしてみました。

しばらくして
返信がありました。

「会社は
倒産したのよ。

社長から聞いていないの

私は
専務から
聞いて知っていましたから
出社していません。

早くその場から
立ち去らないと
債権者が
押し寄せますよ」という内容でした。

加代美は
よく分からなかったけど
あとで分かったことですが
社長派と
専務派は
争っていて
それで
今の会社を
潰して
それぞれが新しい会社を
作るということらしいのです。

加代美以外の
社員は
どちらかに呼ばれて
新しい会社の
社員となるのだそうです。

若くもなく
お茶汲み以外の
特技のない
加代美は
どちらにも呼ばれなかったのです。

今になって思えば
どちらかの派閥に
入っていたらと
後悔しました。

そんなことで
ボーナスはもらえませんでした。

すぐに
ヨーロッパ旅行を
キャンセルしましたが

2割の
キャンセル料を
払わなければならなくなりました。

そんなことを
旅行に行く予定だった
友達に言うと
「大変ね」と言われて
それから
連絡はありませんでした。

それに対して
サークル活動の
仲間は
未払いの
お給料や
ボーナスを請求する方法を
親身になって
相談にのってくれました。