ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの71歳の老人の日記です

長編小説「昭和」その10

10

水利は
農業の要です。

今津の用水は
百間樋井組(ひゃっけんびゆぐみ)
と呼ばれています。

今の
宝塚市の高司辺りの
武庫川から
取水して
天井川の
仁川の下を掘り抜き
今津まで流れてきたものです。

400年以上前
作られて
数々の血なまぐさい騒動があって
現在の水路がありました。

それを守るために
亀太郎も
頑張っていたのです。

何しろ
人力で
仁川の川底に
樋を作るのです。

樋とは水を通す
パイプのようなものです。


大麦の穂が
茶色になった頃から
亀太郎は
忙殺されることになります。

日もながくなり
朝も早くなって
今の時間で言えば
午前4時頃に
起きて
まず
麦の刈り取りです。

麦は
稲に比べて
固い
重い
その割りには
収穫量は少ないのです。

腰が痛くなります。

麦の茎は
ストローにはなりますが
わら細工には
使えません。