ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの71歳の老人の日記です

長編小説「昭和」その43

屎尿の
肥料を
「下肥:しもごえ」と
呼んでいます。

下肥は
少し置いてから
田んぼに撒きます。

置いておく施設が
「土壺:どつぼ」です。

現代でも
その言葉が残っていて
「土壺にはまる」と
よく聞きます。

土壺は
関西の方言で
関東では
野壺と言うらしいのですが
いずれにせよ
肥だめです。

雨水が入って
大事な
屎尿が
薄まったり
流失しないように
屋根が付いているものもあります。

土壺には
屎尿の中の
浮く成分が
浮いていて
あたかも
地面が
そこにあるように
見えるのです。

それを
見誤って
土壺に
落ちる人も
年に
何人かいます。

大人なら
亡くなるようなこともないですが
子供なら
亡くなることも
あったかもしれません。

そんな危険な
土壺が
田んぼのあちこちに
ありました。

亀太郎は
親によーく
言い聞かせられていましたので
そのようなことは
ありませんでした。