ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの68歳の老人の日記です

ブログ小説「順子」その5

大人びた
順子は
みんなの
羨望の的になるのではなく
失笑の対象や
いじめの対象となります。

子供がよくやるいたずらで
ドアの上に
黒板消しを
挟んで
ドアを開けると
落ちてくるというものも
順子にされたことがあります。

何も知らない
順子が
ドアを開けると
落ちてくるのですが
順子は
それを予測しているかのように
ひらりと身をかわし
手で受け止めました。

そして何もなかったように
黒板に
戻して
席に座るのです。

その俊敏さは
誰にもまねできません。

順子は
賢いだけではなく
運動神経も
相当なものだったのです。

しかし
順子は
控えめでした。

運動会のかけっこでは
二位になるように
走っていましたし
ドッジボールでも
適当なところで
ボールにあたっていました。

スポーツで
目立っても
仕方がないと
思っていたのです。

それにはわけがあります。

順子は
おばあさんと
一緒に
テレビを見ることを
日課にしていたのです。

おばあさんが
野球やサッカーの試合の
ニュースを聞きながら
「選手は
たくさんのお金をもらって
試合をしているけど
みんなの
好奇心は
満足できているが
これといった
役にはたっていない」
話していたのを聞いて
そうだと思っていたのです。

スポーツは
社会の役に
大きく役立つことでは
ないと
順子は思っていて
そんなところで
目立っても
仕方がないと考えていました。

それどころか
そんなところで目立っていては
みんなの
もっと役に立つことが
できないとまで
思っていたので
運動の分野では
目立たぬように
行動していました。

先生や
クラスメートも
それにはすっかりだまされていて
少しは
安心していました。

順子の日課は
小学生が
そうであるように
いつも同じです。

しかし
普通の小学生とは
「はなはだ」変わっていた
というか
「模範」ともいうべきかもしれません。

朝早くおきて
お布団をあげて
弟を 
起こして
朝食の用意を手伝って
父親に
新聞を取りにいって
食べたものを片付けて
学校へ行きます。

学校から帰ってくると
手を洗って
宿題をして
弟と
おじいさんとおばあさんの部屋で
テレビを見たり
おやつを食べたり
話をしたり
肩たたきをしたりして
すごします。

母親が
帰ってくると
夕食の用意を手伝って
お風呂を入れたり
夕刊をとってきたり
いろんなお手伝いをします。

父親が
帰ってくると
みんなそろって
楽しく食事をして
順子は
聞き役に
回ります。

学校では
図書室の
大方の本を
速読して
その内容を
ノートに簡単に書いていました。

小学校の図書室に
よく置いてあるような
伝記ものに
大きく感動していて
エジソンナイチンゲール
ヘレンケラー
などに心を動かされて
将来は
看護婦さんに
なりたいと
思うようになりました。