ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの68歳の老人の日記です

ブログ小説「順子」その26

そんなことがあって
大学の
順子に対する
対応は
変わってきました。

3年になると
実習はもっと多くなっていました。

順子は
解剖の実習だけは
困ったと思っていました。

順子の透視力を使えば
解剖などやらなくても
中が見えるのですが
実際に
メスを使って
解剖していくのは
苦手です。

細い血管や神経を1本1本取り出して
図に起こしていくのです。

順子は
みんながあっと驚くような
きれいな
解剖図を
書いて
その場をしのぎましたが
それには
超能力を少し使ってしまいました。

順子が
優秀なことは
学部全体の人が
知るところですが
予診実習が始まると
もっと
患者にも
わかるようになります。

予診室で
患者にあった瞬間に
順子は
病名がわかることが
多かったのです。

学生ですので
病名を告げることはできませんが
それを
導き出す問診を
さっさとこなすのです。

悪いところに
手が届くような
問診をするのです。

テレビに出ている
小学生のようにかわいい
女の子が
問診するだけでも
話題になりますが
その問診が
的確なら
もっと話題になります。

順子は
予診の最後に
「かまぼこの順子ですが
この病院では
まだまだの医学生ですのでよろしくお願いします」と
付け加えて
騒がないようにお願いしていました。

そのお願いが
功を奏したのか
病院では
そのことは
あまりに話題になりませんでした。



4年たって医師の試験に合格して
研修医となります。

病棟の
研修医となって
教授の後を
ずらずらと
ついていきました。

順子は
背が小さいので
後ろでは
教授や
患者が見えません。

前に出て
聞きますので
目立つ存在となっていました。