ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの71歳の老人の日記です

ブログ小説「後半戦はこんな作戦で」もしもの備え編その1

今週のお題「もしもの備え」

理子は
なぜそんなに
私に一途になれるのか
理解できません。

どんなに
よく目で見ても
「私って
そんなにいいとは思えません。

クラスの中でも
もっと美人で
気立てがいい人は
いっぱいいるのに
なぜ私なの」と
少し大声で
純一に言ってしまいました。

純一は
少し驚いて
「転校した日に
先生が私を
教壇の前に立たせて
私を紹介しました。

私がうつむいて
頭を下げると
先生は
「みんなの方を見て挨拶したら」と
言ったら
クラスからどっと笑いがでました。
僕が
少しだけ頭を上げて

みんなを見たとき
理子さんの笑顔が見えたんです。

一番素敵でした。

その時から理子さんの
笑顔が忘れられず
笑顔を待っていたのだと
いうのです。

一度
理子さんの
隣に座ったこともあるんですよ。

理子は
そんなことあったのかと
記憶をたどりましたが
覚えていません。

本当のことを言うと
理子は
純一が
小学校3年生の時に
転校してきたことも
覚えていないのです。

純一は影の薄い
少年でしたので
今とは
おおちがいです。

それで聞いてみました。

理子;

純一さんは
今は
活発な方ですが
当時は
目立たない方でしたが
いつ頃から
そんな風になったのですか。

純一;

たぶん
大学に入ってからかな
空気が180度変わるので
僕も変わったの

理子;

そんな簡単に変われるんですか

純一;
割とスムーズに変わったんだけど
理子;
きっかけは何なの

純一;

それは人生の備えです。

理子;

人生の備えって

純一;

高校の時に
考えたんです。

就職氷河期が終わったころだったけど
目立たないように
暮らしていくと
就職も
大変みたいだと
姉に言われたんだ。

理子;

お姉さんは
公務員でしょう。

純一;

姉は優秀だから
才能で
超氷河期でも
就職できたけど
僕には違う方法を
助言してくれたんだ。

理子;

助言があったからと言って
そんなに変われるの

純一;

それが姉の力です。

姉は
あらゆる局面を
想定して
綿密な計画を立ててくれたんだ。

服装も
選んでくれた。

理子;

お姉さんって
すごいのね
備えあれば患いなしね。

純一;理子さんだって
コロナ禍で
失業したけど
書道ができたから
就職できたでしょう
備えあれば患いなしじゃないか

理子;

そうかもしれないわね
でも
書道は
備えてなったけど
どんなものを備えてよいかなんて
わかりません。

純一;

備えというのは
わかっているときの備えだもんね。

理子;

そうそう

純一;

理子さんに
話したいことがあるの

理子は告白かプロポーズかと
考えたのですが
それはそうではなかったのです。