ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの68歳の老人の日記です

短編小説 「茶髪男と黒髪女の恋」その14

一方あずさは
目覚ましが鳴るまで
寝返りも打たずに
寝てしまいました。

あずさは
この時夢を見ていたのです。
明るい草原を
ゆっくりと歩いている夢で
満ち足りた
幸福感が
あるのです。

3時に
目覚ましが
何台もなると
あずさは
ロフトにあるベッドから
ゆっくりと
お部屋に下りてきました。

見ていた夢のおかげかどうかわかりませんが
何か
満ち足りた
充足感が
残っていました。

でも時間には勝てません。
シャワーを浴びて
身支度をして
冷凍してあった
食事を取ってから
お化粧をして
出かけていきました。

園田駅まで
いつものようにまっしぐらです。

途中の信号を
見ながら走っていきます。
今までの記録は
1分30秒でした。

この日は
ちょっと長目の
2分30秒です。

阪急園田駅に着いたら
すぐに電車に乗って
大阪に行きました。
それから
勤め先のお店まで一直線です。

お店の更衣室で
やっと一息ついて
電話を見ました。

もちろん
次郎からのメールが来ていないかのチェックです。

もちろん来るわけもなく
あずさはがっかりです。

「じゃこっちから出してみよう」
と思い
メールアドレスを探しました。
でもないのです。

あずさは焦りました。
何度探しても
携帯がなかったので
「あれは夢だったのかな。
起きたときは何となく
幸せな感じがしたのが
変だなと思っていたわ。

どうだったのかな
夢にしては
リアルすぎるような気がするし、
でも携帯で必ず
メルアドを交換したのに
あのとき確かピッと音がしたように
覚えているのに。
夢だったのかな。」
と考え込んでしまいました。

でも
爪を見ると
確かに傷があります。
「やっぱり夢でなかったんだ。
どうしよう
あっちから
連絡を待つしかないのかしら
あー
あー
あっー」
とため息が出てしまいました。