お互いに 顔を見合わせて 笑顔で うなずきました。 美味しかったのです。 予想を裏切ってしまって 話は 大きく発展しました。 美味しくなかったら あれから 40年になるのに 潰れてしまうのだという 結論になってみました。 国道筋で タクシーを ひらって 十詩子の実家に 向かいました。 タクシーの中で 本当のことを 高齢の 両親に 話すべきかどうか 議論しました。 正直が よりどころだった 十詩子は 正直に話すべきだという 意見でした。 悟は 早くに両親を亡くしているので 話すべきでないと 言うのです。 そんな話をしていると タクシーの運転手は 「言わない方が 良いのではないですか」と 話の中に 入ってきました。 いろんな理由を挙げて 理屈ぽっく 話をしてきました。 十詩子は その理論性に納得して 真実は 言わないことにして 車を降りました。