ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの71歳の老人の日記です

ブログ小説「もしものマリヤ」運動編その3 その3は下の方です。

今週のお題「運動不足」

私は
子供の頃
勉強したくない人はいるけど
働きたくない人はいないと
思っていました。

大人は
難なく
働いているので
子供だった私は
そう思ったのかもしれません。

 

いやな仕事は
やりたくないんですよね。

やりたい仕事ばかりじゃないし
そんなことに気が付いたのは
仕事を始めてからです。

バカですね。

そんなおバカな
女性が主人公です。

____________

マリヤは
真面目だけど
失敗ばかりしていました。

 

マリヤが生まれたのは
1975年のことでした。

マリヤの両親は
すごく仲は良かったですが
自分たちは
結婚できた以外は
不運だったと
考えていたのです。

両親は
常に
万が一に備えて
万全の態勢で
臨むようにしていたのですが
実際には
少しぬかっていました。

ふたりの間に
生まれてきた
子供に
聖母マリアにちなんで
片仮名で
マリヤと名付けたのです。

そもそも
聖母マリア
日本では
「マリア」と

表記されているのに
両親は
語感が同じような
マリヤだと思っていたのです。

こんな何とも言えない
失敗の名前を
つけられた
マリヤは
成長していきます。

大きな救いは
両親は
仲が良くて
マリヤに優しいということでした。

 

小学校に行くと
多数のクラスメートや先生と
関りを持たなければなりません。

備えが
必要になるのです。

いじめなどに会わないように
両親は
処世術を
教えたのですが
そんなむつかしいことを言われても
実践できないと
考えつつ
「わかった」と
言ってしまいました。

もしもの備えのために
もしものことばかり考えていたのです。

「もしもいじめられたら」

「もしも勉強ができなかったなら」

「もしも遅刻したら」

「もしも宿題を忘れたら」

など
ほとんど起こりもしないことや
起こっても大した影響もないものまで
考えていたのです。

そう考えていると
チャレンジはできなくなります。

ピアノを習いに行っても
もしもうまく弾けなかったらと考えて
やめたのです。

 

 

 

 

 

マリヤは
高校の時に
好きな人がいました。

 

もちろん
片思いです。

 

好きだったけど
もしもと考えて
言えなかったのです。

 

そんなマリヤは
高校へは
お弁当を持っていっていました。

 

優しい母親は
愛情たっぷりの
お弁当を
マリヤのために
いつも作っていたのです。

 

ある日
嵐が来て
いつもの
スーパーマーケットの品ぞろえが悪くて
おかずがそろわなかったのです。

 

そこで
マリヤが
一番好きな
ふりかけを
お弁当に入れました。

 

ご飯の上に
かけると
湿って美味しくなくなるので
袋のまま
入れておいたのです。

 

マリヤは
今日は
一番好きな
いつものふりかけが
付いているので
嬉しくなりました。

 

お弁当を
開いて
ご飯の上の
そのふりかけを
かけようとしたときに
隣の席の
お調子者の
男の子が

「マリヤのふりかけ」と言って
空のふりかけの袋を
手でつかんで
みんなに見せたのです。

 

お調子者の男の子は
その袋に書いてある
文字を読みました。

 

「『たまりやのふりかける醤油』だって
たまりやって
マリヤとたまりや
深い関係かな」と
はやし立てたのです。

 

みんなは
大爆笑です。

 

マリヤは
自分でもわかるほど
真っ赤になってしまいました。

 

それを見逃さず
またまたはやし立てたのです。

 

大爆笑ですが
先生が
教室にやってきて
その場は終わりました。

 

マリヤは

下を向いて
その場は
お弁当を仕舞ってしまいました。

 

美味しい弁当が
食べられると思っていたのに
残念無念だと
思いました。

 

伏し目がちに

クラスのみんなを見ると
その時は
ひとりを除いて
平然となっていました。

 

ただひとり
好きな人だけが
こちらを
心配そうな目で
見ていたのです。

 

マリヤは
それを見て
考え込んでしまいました。

 

5時間目
6時間目は
お腹はすくし
あこがれの人も
気になるし
もうどうしようもない
状態でした。

 

 

 

 

やっと
6時間目が終わって
ホームルームが終わりました。

マリヤは
不幸にも
掃除当番で
すぐには帰れませんでした。

さっさと
片付けようと思うと
余計に
ゴミ箱を蹴飛ばしたり
椅子を落としたりして
時間を費やしてしまいました。

 

やっと終わって
人気が少なくなった
学校から
帰りました。

 

近くの公園は
ちょっと知った人が
会うかもしれないので
少し離れた
人影の少ない公園へ
小走りに歩いて
行きました。

 

お弁当を
食べるためです。

 

家の習慣で
帰ったらすぐに
お弁当を
洗わなければならないので
食べなければならないのです。

 

ベンチに座って
一目散に?
食べました。

 

ふりかけは
醤油になっていました。

 

でも
美味しく食べました

 

マリヤは
何でもおいしく感じる
特技?を
持っていました。

 

『美味しくないもんなんて
世の中には
存在しない』と
思っていました。

 

マリヤは
健康的だったのかもしれません。

 

それは良しとしても
あこがれの人は
どんな風に思っていたのだろう
という問いは
頭の中を
堂々めぐりで
駆け巡っていたのです。

 

____________

著者注
今週の課題に合わせるため
ふりかけを用意しました。

インターネットで調べただけなので
食べたこともありませんが
「たまりやのふりかける醤油」を想定しています。

https://tamariya.com/?pid=136236534

です。

インターネットで買うつもりもありませんし
これは広告でもありません。
私のブログは
アフェリエイトをしてませんので
これによって
収入があるわけでもありません。

 

ごめんなさいね。

____________

 

 

 

 

 

 

 

 

マリヤはあこがれの人のことを
考えても
どうしようもないことが
頭では
わかっているのですが
考えてしまうのです。

 

そんなことを考えつつ
時間は過ぎます。

 

マリヤには
一番いやな
時が来るのです。

 

それは歴史の時間で
聖母マリアのことが
授業内容になるときです。

 

キリスト教のことが出てくる
世界史のはじめと
隠れキリシタン
話題となる
日本史の部分です。

 

世界史の時は
例の
ふりかけ事件を作った
あのお調子者が
「マリアなのに
マリヤだって」と
はやし立てるのです。

 

明日の日本史の時も
きっと同じように
言うに違いないと
マリヤは考えていたのです。

 

いっそ
休んでしまおうかとも
思ったのですが
親に心配をかけてはいけないということで
重い足で
その日も
登校しました。

 

日本史の時間が
やってきて
先生が
話し始めたのです。

 

教科書には
日本に伝わっている
聖母マリア像の写真が
のっていました。

 

きっと
言うに違いないと思った時

偶然が起こったのです。

 

その授業は
4時間目だったのですが
あこがれの人が
「はやべん」をしていたのです。

 

あこがれの人は

野球部に入っていて
朝練があったので
たぶん朝食を抜いていたのかもしれません。

 

ふりかけをかけて
ご飯を食べていたのです。

 

それを先生に見つかって
大事件が
勃発したのです。

 

授業は中断して
その日は
マリアについての
話は
なくなってしまいました。

 

マリヤには
本当に良かったと
思いました。

 

あこがれの人が
ひょっとして
考えて
はやべんをしたのかとも
考えたのですが
私なんか
考えていないという結論で
「そんなことはない」と
決めつけてしまいました。

 

でも
後日わかるのですが
そうではなかったのです。

 

 

 

 

 

 

 

マリヤは
高校3年生
進路について
もうとっくに
考えていなければ
ならない時期なのですが
マリヤは
もしものことを考えて
後回しにしていたのです。

 

周りの
家族や
先生は
困ったものだと
思われていました。

 

マリヤは
言い訳がましく
考えてはいないことはないのですが、
「一番目の志望は医師
2番目は文学部
すべり止めに農芸化学」と
考えていました。

 

一見ばらばらのように見えますが
マリヤの中では
筋道が通っているのです。

 

他の人
上手く説明できないので
みんなは
「そんなのでいいの」と
言っていました。

 

最大の理解者の
マリヤの父親にも
今志望の選択は
理解されていませんでしたが
とりあえず
応援されていました。

 

寒い試験の時期が
やってきました。

 

マリヤなりに
相当勉強しました。

 

周りの目でも
勉強していると
見ていたので
医学部に行けるのではないかと
思われていました。

 

試験の日
起きられなかった時のことを
考えて
父母に
必ず起こすように
言ってから
早めに寝ました。

 

いつもと違う時間だったので
目がさえて寝つけられません。

 

試験の時は
いつものことですが
その朝
眠たくなってしまったのです。

 

ふりかけのついた
お弁当を持って
試験場に
向かいました。

 

ふりかけ事件のこともあるので
何か不吉だとも思ったのですが
美味しいので
「可」としました。

 

試験は
まあまあでしたが
結果は
不合格でした。

 

こんなのが続いて
最後の
農芸化学になってしまいました。

 

就職も考えましたが
時期が
就職超氷河期だったので
あまり
女性のいない
大学に通うことになったのです。

 

 

 

 

 

試験の不運で
農芸化学
進学したのですが
マリヤにとっては
良かったのかもしれません。

 

マリヤの優しいお父さんとお母さんは
丹波の出身です。

 

天引峠を
隔てて
ふたりは
暮らしていたそうです。

 

学校行事で
小学校の時に
天引峠への
遠足がありました。

 

険しい峠を
上って
峠の上で
ふたつの学校が
出会うというものです。

 

今は
トンネルができていて
便利になっていますが
当時は
険しい山道でした。

 

父母は
ここで出会って
知り合ったそうです。

 

マリヤには
ロマンティックに思えました。

 

父親の
家は
天引峠の
西側にあって
農家でした。

 

父親の父親
すなわちおじいさんは
冬には
杜氏(とうじ)として
灘にお酒を造るに行っていました。

 

母親の
家は
峠の
東側にあって
缶詰を作っていました。

 

付近で採れる
作物を
缶詰にしています。

 

缶詰作りは
かなり大掛かりで
祖父母の代から
続いていました。

 

小学校の遠足で出会ってから
おじいさんに連れられて
西側の農家に買い出しに行ったのです。

 

その時に
母親は父親に再会したそうです。

 

お手伝いで
何度も
ふたりは出会って
仲良くなりました。

 

運命の人だったのだと
父母は
話していました。

 

マリアは
そんな二人の仲に
生まれました。

 

就学前は

盆暮れはもちろん
1カ月に一度のくらいで
ふたつの祖父母を
訪れました。

 

マリアが行くと
おじいさんやおばあさんは
大変喜んでくれました。

 

そして
お酒作りのことや
野菜の作り方
缶詰に合う野菜についてなどを教えてもらいました。

 

もうひとつの
おじいちゃんおばあちゃんの家に行くと
同じように
喜んでくれて
缶詰を
作ってくれました。

試作用の
小さな釜で
いろんなものも
作ってくれました。

 

マリアは
不運でしたが
秀才で優しかったので
おじいさんおばあさんに
大変気に入られて
大きくなっていきました。

 

そんな影響を受けて
農芸化学の道に進んだのかもしれません。

 

 

 

当時放送されていた
夏子の酒」の
影響かもしれません。

 

女性の杜氏
活躍するというものです。

 

お酒を造る人に
なんとなく憧れていたのです。

 

お酒は
まだ飲んだことがないので
よくわからないですが
それにも憧れていました。

 

大学の授業が
始まりました。

 

一般教養から始まるので
マリヤは
興味が少なかったのです。

 

それに対して
クラスメートには
興味を覚えました。

 

今までにあったことがないような
”人種”です。

 

ひとり目は
少しおバカな男性です。

 

名前は木船さんといいますが
みんなからは、
きーさんと呼ばれていました。

 

大学に受かったのだから
それなりに
賢いはずなのに
全くそうでないのです。

 

ふたり目は

親が大金持ちの
市会議員で
当時は珍しい
ブランド志向の
女性です。

 

名前は
山崎さんというのですが
やっちゃんと
呼ばれていました。

 

さんにん目は
そう、さんにん目は
高校の時の
同じクラスの
男性でした。

 

あの
憧れていた人だったのです。

 

ふりかけ事件の時に
心配そうに見ていた
人だったのです。

 

名前を
西村さんといい
マリヤは
にいさんと呼んでいましたが
その呼び方は
マリヤの心の中だけです。

 

にいさんが
同じ大学に通うことになった理由については
後でわかるのですが
マリヤは怖くて
聞けませんでした。

 

本当のことを
知るのが怖かったのです。

 

大学では
マリヤも入れて
この4人が
いつも最前列に座って
授業を聞くことになります。

 

他のクラスメートからは
最前列4人組といわれていて
先生からも
そんなふうにおもわれていました。

 

最前列4人組は
クラブ活動もしていませんでした。

 

マリヤの
おじいさんが
缶詰作りをしていると聞いて
みんなで見学に
行ったりもしました。

 

おじいさんおばあさんは
とても親切に
案内してくれました。

 

大きな
オートクレープを見て
にいさんは

とても驚いていました。

 

試作用の
小さなオートクレープで
栗とタケノコそれに肉じゃがの缶詰を作りました。

 

試作品の缶詰をもらって帰りました。

 

みんなは
「なんてすばらしいおじいさんおばあさんをもっているのだ」と

言ってくれたので
鼻高々になってしまいました。

 

4人はこんな楽しい大学生活を
送り始めました。

 

 

 

 

 

 

家に帰って
肉じゃがを開けて
食べてみました。

 

やっぱり
美味しかったです。

 

にいさんは
高校の時とは
全然違って
遠い存在ではなく
間近に感じる存在になっていました。

 

間近になったのは
私が農芸化学を志望したためで
志望したのはおじいさんおばあさんの影響だったと
思いました。

 

おじいさんおばあさんには
世話になるばかりで
何か恩返しを
したいと思っていました。

 

でも
思いつきません。

 

4人組に
聞きましたが
そう簡単には
わかりませんでした。

 

にいさんは

「同じことをしたら
喜ぶんじゃないかな」

と話したのです。

 

同じこととは
同じ仕事をしたらという意味だそうです。

 

缶詰屋の
おじいさんおばあさんは
後継ぎがいないと
見学の時に
話していたのです。

 

そこで
孫の
マリヤが
後継ぎになったらということです。

 

究極の
恩返しかと
思いましたが
若輩の
マリヤが
缶詰屋を
継げるわけには
いかないし
缶詰屋を
倒産させてしまいます。

 

マリヤは話が飛躍していると
考えて
別の方法を考えることにしましたが
そんなものは
すぐには思いつきませんでした。

 

4人組の素性が
はっきりわかるのは
心理学の講義の時です。

 

心理学の先生は
実践的な
講義をします。

 

ゲームのような
ことを始めたのです。

 

各自が
プロフィールを
発表してから
好きな食べ物や
好きな趣味を
4個言うことにする。

 

4個のうち
1個は
嘘を言って
それを
みんなが当てるというものです。

 

マリヤは
どんな風にしようか迷いました。

 

嫌いな食べ物とか
嫌いな趣味を
ひとつ言わなければならないのです。

 

食べ物で
嫌いなもの
苦手なものは
ありません。

 

もちろん食べた中での話ですので
昆虫食や鮒ずしのようなものは
食べたことがないので
嫌いかどうかわかりません。

 

昆虫食や鮒ずしに

興味がありますので
ひょっとして
好きかもしれないのです。

 

嫌いな趣味って
趣味は

好きなものなのに
嫌いなものは
趣味ではないので
どうもわかりません。

 

でも
課題ですので
何かないかと
講義の日まで考えていました。

 

ようやくその日になって
思いつきました。

 

子供の頃に
食べた
クラゲが
いやだっとことを思い出したのです。

小学校の頃
親戚からもらったのですが
その夏に
クラゲに刺された記憶があって
食べられませんでした。

 

そこで
クラゲにしました。

 

 

 

 

 

 

クラゲなら
すぐわかると思い
笑ってしまいました。

 

例えば

私の好きな食べ物は
リンゴ
カレーライス
オムライス

クラゲと
列挙したら
絶対に
その中に嫌いなものがあるとすると
クラゲに決まっていると思いました。

 

みんなが
好きでないものを
列挙しないとだめだと
考えました。

 

皆が嫌いなものがいいかも
しれないと考えて
図書館で調べて
ゴーヤ
レバー
きゅうりにしました。

 

これらとクラゲを
並べておけば
絶対にばれないと
思いました。

 

実際
ゴーヤは
あの苦さがたまらないし
レバーは
同じく苦さと臭いが
なんか体に効きそうだと思うし
きゅうりは
理屈はないけど
好きなものでした。

 

こうして
発表の日が来ました。

 

プロフィールは
特にいうほどもなく
終わって
好きなものを
理由挙げて説明しました。

 

クラゲは
コリコリがいいと説明しました。

 

次に発表したのは
にいさんです。

 

にいさんは
農芸化学を志望したのは
家が
酪農家で
乳牛を飼っていたからで
牛乳を利用して
付加価値の高いものを
作りたくて」と
言っていました。

 

「それに
高校時代の
憧れの人も
この学部に通っているので
来た」というのです。

 

その言葉を聞いて
マリヤは
びっくりしました。

 

にいさんは
続けて
「牛を飼い始めたのは
私の祖父の代からで
私で
3代目になります。」
ともいいました。

それから
嫌い間食べ物あてクイズになります。

 

にいさんは
おやつに
柿の種
鶯ボール
満月ポン
ポン菓子
を食べるのが好きだと
言ったのです。

 

それぞれの
好きなところは
柿の種はピーナッツと柿の種の配分が微妙においしいし
鶯ボールは固いところとやわらかいところが甘いだけじゃなくていいとか
満月ポンは醤油味がとても好きだし、子供の頃友達が
食べていて憧れていたとか
ポン菓子はけたたましい音で
何倍にも膨れる所が
美味しいと
説明しました。   

 

 

 

 

 

 

 

みんなの発表が終わって
それぞれの
嫌いな物を当てるということが始まりました。

 

マリヤは
実際のところ
全然わかりませんでした。

 

にいさんの
あの言葉を聞いて
頭が真っ白になって
それ以降に
発表されたことは
わかりませんでした。

 

回答票に
前もって
書かれているので
自分以外のところと
にいさんのところ以外は
丸を適当につけました。

 

理由は

適当に書いてしまいました。

 

自分のところは
もちろん
クラゲ
にいさんのところは
何かと
相当熱心に
考えました。

 

柿の種
鶯ボール
満月ポン
ポン菓子
って同じ並びだし
特に
変わったものはないと思いました。

 

柿の種は
ピーナッツが入っているし、
鶯ボールとポン菓子は甘いし
柿の種と満月ポンは醤油味だし
ポン菓子は音がするし
理由も書かないといけないんだから
何にしようかな。

当てて
にいさんを
びっくりさせたいし
何を選ぶか
ここが肝心だよね。

 

提出時間が
迫ってきました。

 

ピーナッツだけが
豆類だから
たぶん豆類か
ダメじゃないかと
思ったのです。

 

かきのたね」に〇をつけ
理由に
「豆が嫌いだから」としました。

 

提出して
その授業は終わりました。

 

終わると

やっちゃんときーさんが
ふたりに近づいてきて
「西村さんの
好きな人って
マリヤさんだよね。

 

そうなんだ。
私が誘っても
付いてこないのは
そのためだったんだ。」

といったのです。

 

マリヤと
にいさんは
顔を真っ赤にして
何も言えませんでした。

 

やっちゃんときーさんは
ふたりを残して
昼ごはんに出かけてしまいました。

 

誰もいなくなった
教室で
ふたりは黙って
座っていました。

 

そうすると
教室の電気が
消されてしまいました。

 

少し暗くなった
教室で
次の授業時間まで
ふたりは見つめていました。

 

 

 

 

 

 

 

次の講義が始まる時間前になりました。

 

教室の電気が点いて
ふたりは我に返りました。

 

4人組の
他の連中も
席に着きました。

 

ふたりは
昼食をとっていないことに
気が付いて
ふたりは目で話して
笑ってしまいました。

 

授業が終わることには
お腹が鳴って
恥ずかしい目に
あってしまいました。

 

講義が終わったので
急いで
食堂に向かいました。

 

食堂は
非常に空いていました。

 

同じ
A定食を頼んで
ゆっくりと食べました。

 

それから
その日は
電車に乗って
帰りました。

 

家に帰ると
なんだか
お腹が空いて
いつもの
引き出しに入っている
おやつを取りだし
食べ始めました。

 

偶然なのか
柿の種と
鶯ボールがあったのです。

 

「私も好きだわ。
柿の種は

ピーナッツがあるからおいしいのよね。

 

柿の種だけを食べても
そんなにおいしいものじゃないよね。

 

鶯ボールは
たまらないわ。

 

からいものを食べてから

甘いものを食べると

格別なのよね。」と

おやつをほおばりながら
好きなテレビ番組を
見ていました。

 

マリヤは
刑事ものが好きです。

 

今日のテレビは
「恨みをもつ人間を殺すために
その愛人に
わからないように
ピーナッツを食べさせるのです。

 

そして
愛人とキスをした
人間をアナフラキシーショックで
殺す」というものです。

 

そんなことができるんだと
マリヤが思って
よくよく考えてみると
私も
ピーナッツを食べたことを思い出しました。

 

もしものマリヤですので
普通に考えて

起こりえないことを
考えつくのです。

 

それは
もしもにいさんが
明日私にキスしてきて
もしにいさんがピーナッツアレルギーで
もしにいさんがアナフラキシーショックを起こして
もし重体になったら
などと「もし」ばかりついたことを
考え出しました。

 

そんなことを考えていると
なんだか
おもしろくなってきてしまいました。

 

心の中の
笑いが
だんだんと大きくなって
声を出して
笑ってしまいました。

 

それを見ていた
母親が
「何を思い出して
にやにやしているの」と聞いてきました。

 

何も答えないでいると
「また何か想像しているんじゃないの」と
マリヤの心の中を
見抜いていました。

 

何も言えずに
その日は終わりました。

 

 

 

 

 

大学が楽しくて
マリヤは
いそいそと毎日大学に通いました。

 

あまりにも早く着くので
教室には誰もいません。

 

電気をつけて
エアコンのスイッチを入れて
最前列に座って
みんなを待ちます。

 

次に来るのは
にいさんです。

 

ふたりで
前の晩から
朝までにあったことを
あーでもない
こーでもないなんて
話したのです。

 

たぶん
なんかも話していたかもしれません。

 

そんなに話をよくするのに
例の
心理学の嫌いなもの探しについては
何も話さなかったのです。

 

お互いを気遣ってのことかもしれません。

 

一週間たって
心理学の講義の
時間が来ました。

 

ふたりは
待ちに待った時間です。

 

もちろん二人以外も
楽しみにしていました。

 

先生が
答案用紙を
返しました。

 

各自の答案には
〇×△が付いていて
最後に得点が書かれていました。

 

マリヤの得点は
さんざんです。

 

散々な答案用紙で
にいさんのところだけは
合っていました。

 

理由もあっていました。

 

先生は
講評で
本当のことを言わないときは
人間は
いろんなサインを
送るというのです。

 

わかりやすかったのは
マリヤの発表で
クラゲを言ったときは
瞬きを何回もしたと言いました。

 

マリヤは
わかりやすい
代表になってしまったのです。

 

にいさんにも
バレていたみたいです。

 

そんなことがあって
にいさんは
マリヤを
デートに誘ってきました

 

どこに行こうかと思いつつ
楽しく話していました。

 

にいさん;

僕はなんとなく運動できる所が良いね

 

マリヤ;

なにそれ、、

 

にいさん;

このごろ
あんまり動いていないので
何か体が
なまってしまって

 

マリヤ;

そういえば
私もそうよね
高校の時は
体育の時間もあって
運動したのに

 

にいさん;

僕もこの頃
階段を上ると
息が切れるようになって

 

マリヤ;

何歳なの
年寄みたいなこと言って

 

にいさん;

そうなんだ
僕のおじいさんと
同じ動作になっていると
お母さんに言われます。

 

マリヤ;

それは困ったことね
だったら
私が運動の指導を
してあげましょう。

 

にいさん;

上から目線のように
感じますが

 

マリヤ;

運動なら
私の方が
上ですもの
当然でしょう。

じゃ今度の日曜日に
アスレチックに出かけましょう。

 

にいさん;

それは高いところとか
あります

 

マリヤ;

もちろん

 

にいさん;
高いところは苦手なんですが

マリヤ;

高いところも克服してこそ
人間の生きる道ですよ

 

にいさん;

えー
そこまで言います。

 

というわけで
今度の日曜日
アスレチックで
運動をすることになったのですが、、

 

 

____________________ 

マリヤは
「吊り橋効果」という言葉を
調べたことがあります。

 

そんなことが
話の中にある
ドラマを見たことがあるのです。

 

吊り橋の上のような不安や恐怖を強く感じる場所で出会った人は、

恋愛感情を抱きやすくなる現象があるそうで
 人は、外的な要因でドキドキしても、
恋愛のドキドキと勘違いしてしまう傾向があるそうです。

この吊り橋効果をうまく利用して
にいさんとの愛を

強いものにして
プロポーズさせたいと
考えたのです。

 

高いところが怖い
にいさんなら
この吊り橋効果があるのではないかと
考えました。

 

マリヤは
高いところは問題ありません。

というか
高いところが好きなんですが
吊り橋効果を
より確かにするためには
怖いことにしておこうと
考えました。

 

その日が来て
ふたりは
アスレチック場につきました。

 

あまり高くないところから
始まって
徐々に高いところに
移っていきます。

 

にいさんは
明かに怖そうです。

 

マリヤも
怖そうにふるまっていました。

 

にいさんの
恐怖心が
最高に達した時に
マリヤも
怖い振りをしながら
にいさんに抱きつきました。

 

ふたりは目と目が会って

にいさんが
「結婚しようよ」と
言ったのです。

 

マリヤも
「はい」とはっきり答えました。

 

運動が
思わぬところで
役に立ったと
思った次第です。

 

消極的な
マリヤが少しだけ積極的になって
良かったと思いました。

 

「もしものマリヤ」終わります。