ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの71歳の老人の日記です

ブログ小説「スポンジケーキをつくりたい」その27

特許の世界に
セカンドオピニオンがあるかどうか
わかりませんでしたが
頼んでみました。

知り合いに頼んで
2日後に
別の弁理士先生が
やって来ました。

知り合いの説明によれば
機械担当だそうです。

正子は
名刺を交換して
名ばかりの研究室の
片隅に
置いてある
キスワンを見せました。

先生は
一見して
「攪拌槽が外せるところが
新しいのですね」と
言いました。

正子は
キスワンのすべてが
新しいと思っていたのに
新しいところは
「攪拌槽が外せるところ」だけだと聞いて
少しがっかりしました。

頑張って設計した
蓋のところや
会社として高い経費を払った
非接触動力伝達システムや
内部が見える窓
内部のLEDライト
電線の圧力壁貫通機能
などは
新しくないと
遠回しに
言われてしまいました。

案分を
すぐに出すので
待っていて欲しいと
言って
帰りました。

待っている間も
実験は
行っていました。

チョコレートを
50℃で
フレッシュミルクに溶かして
キスワンで
泡立てると
生チョコレートのような
食感のものが
作れました。

新しいものだと
思いました。

しかしこれを
成形することが
出来ないのです。

いろんな方法を
思案中に
弁理士先生からの
案分が届きました。

セカンドオピニオン弁理士先生からの
案分も届きました。

正子は
ふたつの案分を
熟読しました。

書いてあることは
ほとんど
同じだと思いました。

弁理士として
見るべきところは
同じだと
言うことです。

社長も
正子も
納得して
特許申請を
行いました。

もうすぐ
年も明けるころ
餅の実験を
行いました。

キスワンにとって
すこし
力がいる
回転でした。

キスワンを見ながら
回転をはじめて
少し経ったとき
キスワンから音がしました。

回転が止まり
モーターが
ウーと
音を出していました。

正子は
慌てて
モーター
の電源を切りました。