ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの68歳の老人の日記です

アスカルの童話 桃太郎とアスカル

昔々、あるところにおじいさんとおばあさんがいました。
おじいさんは、芝刈りに
おばあさんは、川に洗濯に行きました。
おばあさんが川で洗濯していると、
上のほうから桃がどんぶらこどんぶらこと
流れてきました。
おばあさんは、
「おいしそうな桃じゃ
持って帰っておじいさんと一緒に食べよう」
言って
家に持って帰りました。
おじいさんが芝をたくさん持って
山から帰ってきました。
ゆうげを、終え
少し一服したおじいさんは、
台所の桃を見つけました。
「あの桃は、何じゃ」
とおじいさんは、おばあさんに尋ねました。
「お昼間 川で洗濯しているときに
流れてきたものです。
切って食べましょう。」
といって台所に行き
桃を切ろうとすると、
中から なにやら声が聞こえました。
おばあさんは、ゆっくりと中を開けてみると
中に小さな赤ちゃんがいました。
おじいさんは、桃から生まれたので
その男の子に、「桃太郎」と名づけました。
おじいさんは、桃太郎を本当に可愛がり、
慈しみながら育てました。
桃太郎が、6才のとき
おじさんは、病気で亡くなってしまいました。
しかしおばあさんは、ひとりで
桃太郎を、「末は、博士か大臣になる逸材」として
武芸を教え、学問を学ばせました。
時には、厳しく時には、やさしく育てられた。
桃太郎は、立派に15歳の春を迎えました。

ある日のこと おばあさんは、
桃太郎を呼び言いました。
「お前も立派な大人になった。
武芸は、もちろん学問もそれなりに習得した。
私が教えることは、もうない。
いつまでも、この家に止まり
博士か大臣の未来を、
夢にさしては、なりませぬ。
今こそ世に出て名を上げよ。
聞くところによれば、
鬼が島の鬼が暴れて、
朝廷も手を焼いているとのこと。
まずこれを平定し足がかりとしなさい。
明日にでも旅立つように。
途中で犬とキジとサルが待っているから
家来としなさい。
きっと役立つから。
博士か大臣になるまでこの家に
帰ってきては、決してなりませぬ。
わかりましたか。
桃太郎」
そう言うおばあさんの目は、
少し潤んでいました。
桃太郎は、これまでのことから、
このような日が来ることは、
覚悟していましたが、
突然の申し渡しに
心の中で大変うろたえてしまいました。
しかし、
「しかと承りました。
おばあ様 永い間ありがとうございました。
決して志半ばで家には、帰りませぬ。
お元気でお暮らしください。」
と思わず言ってしまったのです。
本心とは、まったく違ったことを言ったことを、
後になって悔いることになります。

翌日まだ日が明けきらぬうちに
おばあさんが作った黍団子を持って
家を旅立ちました。
「決して振り返るな」
と言うおばあさんの言葉通り
振り返らずに去っていきました。
おばあさんは、一日中その後を見送ったそうです。

桃太郎が鬼が島への道を歩いていくと
キジが待っていました。
キジは、勇気の象徴でしたので、
おばあさんの言ったように家来にしました。
もう少し行くと
猿がいました。
猿は、知恵の象徴ですので、
同じように家来にしました。
さらに進んで行きました。
しかしおばあさんが言った様に
犬が待っていません。
「おかしいなー
なぜ犬がいないんだろう。
おばあさんが うそをつくわけがないし、、、」
と考えながら進んでいくと、
道端で犬が寝ていました。
「あの犬かな、
少し違うような気がする。
犬は、忠義の象徴、
それなのにあの犬は、
それを感じられない。
目を合わせないように通り過ごそう」
心の中で考えて行こうとした時、
つむじ風が起きて、木の葉が飛び
それをよけようと
目をそらしたら、
犬と目が合ってしまいました。
この犬名前をアスカルと言います。
寝ていたアスカルも
風が起きて桃太郎が持っていた
黍団子のにおいが鼻に付いたので
目を開けてしまったのです。
食べ物のにおいに敏感なアスカルは、
突然お座りをして、
言いました。
「お武家様、よろしかったらお腰の黍団子を、
私にください。
あなたの家来になりましょう。」
桃太郎は、そこまで言うのは、
おばあさんと何かつながりがあるからに違いないと考え
黍団子を与えて家来にしました。

鬼が島に着くと
そっと鬼のすみかまで近づきました。
鬼は、全部で10人
屈強の者たちに見えました。
キジが
「直ちに攻めてしまいましょう。」
と言いました。
猿は、
「私たちの手勢では、劣勢です。
今ひと時待つべきです。
きっと鬼たちは、夕方になると、
ものを食らって酒を飲み
深酒になって寝込んでしまうでしょう。
寝入りばなを襲うのが寛容かと思います。」
と言いました。
桃太郎は、アスカルにも意見を聞こうと
見ましたが、すでにアスカルは、
横になって寝ていました。
「アスカルも待つ意見に賛成か
しばし待とう」
と桃太郎は、決めました。
それでキジを偵察に出して離れたところで
機を待つことにしました。

それから数時間が経ち
キジが帰ってきました。
「すでに鬼の連中は、
寝込んでおります。
今こそ一気に攻め立て、
全滅いたしましょう。」
とキジは、桃太郎に言いました。
「それは、いかがかと思います。
本気で攻めれば鬼たちは、
本気で反抗してきます。
ここは、静かに近づき
縄で一人ずつ縛り上げましょう。」
とまた猿が進言しました。
桃太郎がアスカルを見ると
縄の上で寝ていたのです。
「そうかアスカルも
猿の意見に賛成か
アスカルその縄を持って
付いて来い。」
と桃太郎が言いました。
突然言われたアスカルは、
何がなんだか分からないうちに
重い縄を持って桃太郎の後を付いていきました。

鬼に近づくと
手際よく
桃太郎と猿とキジは、鬼を縛って回りました。
アスカルは、縄を持って
言われるままに右に左に行ったり来たりしました。
すべての鬼を縄でぐるぐる巻きに出来たので、
桃太郎は、刀を抜いて仁王立ちになり
「鬼ども、起きよ!
我こそは、桃太郎なり、
その方らすべてを召し取った。
言うことを聞かぬものは、
この刀の露となるか。
返答は、如何!」
と名乗りを上げました。
鬼たちは、その声に目が覚め
「しゃらくさい、
何を言うか」
とひとりの鬼が言いました。
言い終わるが方が早いか
キジが鬼の頭を突っつくのが早いか
その鬼を懲らしめました。
「やめてくれ」と鬼は、叫びました。
桃太郎は、やめるようにキジに言って
「改心して悔い改めるのなら許そう
盗んだものを村人に返し
田畑を耕して迷惑を掛けぬ様努めるか。」
と鬼に言いました。
「決してこれからは、悪いことはいたしません。
平和に暮らします。」
と鬼たちは、言いました。
桃太郎は、鬼たちに二心がないか見抜けなかったので、
誰かをここにおいて見張らせなければならないと考え
猿、キジ、アスカルを見ました。
そうしたらどうでしょう、
もうすでにアスカルは、
鬼の住処の一番上座に寝ていたのです。
桃太郎は、アスカルは、
ここにとどまる覚悟が出来ていると考え
「鬼たちよ
村人に返し、田を耕した後のことは、
我が臣下のアスカルに聞くように
決してアスカルの言うことを聞かぬ様なことがないように
もし聞かぬことがあれば、
我が来て成敗してしまうぞ。」
鬼たちは、口々に
「アスカル様の言うとおりにさせてもらいます。」
と言いました。
それから桃太郎は、アスカルにここに とどまって
この地を治めるように言ってから、
夜が明けたのでその日のうちに
京へ出立した。

アスカルは、本当は、
おばあさんが言った犬ではなかったのです。
本当の犬は、ジョンといって
熊ほど大きくて
それなのにこまめに動く忠犬でした。
おばあさんがそんな怖い鬼がいる所に
弱そうなアスカルを連れて行くわけがありません。
しかし手紙を出したのが
遅く着き、ジョンは、走って走って行ったのですが
桃太郎と会えたのは、
桃太郎がその鬼が島を後にしてまもなくでした。

そのことを知った
猿は、桃太郎に
「困ったことです。
あのアスカルでは、
到底 鬼が島を治めることは出来ません
取って返して別なものを残してください。」
と進言しました。
しかし桃太郎は、
アスカルの落ち着いた様子を思い浮かべ
「当分アスカルに任せよう。
またキジに飛んでいってもらって
時々様子を見るのでよいでしょう」
と言いました。

鬼が島を平定したとの知らせは、
すぐに朝廷の耳に入り
桃太郎を呼び出し
各地を回って争いを収める役に任じました。

この後桃太郎とその臣下は、
数々の手柄を挙げ、
20年後には、
桃太郎は、太政大臣
猿 キジ ジョンも一国一城の領主となりました。

桃太郎は、太政大臣になった年に
20年ぶりに我が家に帰りました。
しかしすでにおばあさんは、
この世には、いませんでした。
20年前に旅だったあの日が
今上の別れだったのです。
桃太郎は、その後職を辞して
各地を見て回ることにしました。

キジの治めてる国は、
もちろん争いは、ありませんが、
人々は、何かにつけて口論しあっていました。
猿が治めている国は、
同じく争いは、ありませんが
人々は、理屈っぽくてゆとりがありません。
ジョンの治めている国は、
礼儀正しくいいのですが、
何か無味乾燥な感じがしました。
最後に一度だけ臣下となって働いた
アスカルが治めている鬼が島
今は、富島と言いますが行ってみました。
富島では、人々は、ゆったりと生活し
仕事がないときには、横になって
寝たり読書をしたりおしゃべりしたりしていました。
村人に桃太郎は、
「ゆったりした島ですね。
どうしてこんなにゆったりしているのですか。」
尋ねました。
村人は、口をそろえて
「それは、アスカル様のご意向です。
私たちは、アスカル様の言うとおり、
田んぼを耕した後は、
何もせずゆったりとすごしているのです。
これと言ったことは、何もしません。
生きるのに必要なこと以外は、
アスカル様はしてはならぬと仰います。
みんなは、幸せです。」
と言うのです。
これを聞いた桃太郎は、
うれしくなってアスカルに会いに行くことにしました。
アスカルは、もうすでに死んでしまって
今は、孫があとを継いでいました。
アスカル3世が桃太郎の前に出てきて
お座りをした後
「桃太郎様のことは、
おじいさんからいつも聞いていました。
いつかはこちらに戻られるから、
そのときには、
ゆったりとお迎えするように聞いております。
まずは、横になってください。」
と言いました。
この富島では、
人が訪ねたときは、
寝てお迎えし
寝てお話しするのが決まりだったのです。
どのような話でも
寝て話すと争いになることは、
まずないだろうと言うことから来ています。

桃太郎は、その後のことを
アスカル3世に話しました。
アスカル3世は、
「時々、キジがやってきて
桃太郎様のことは、知っていたようです。
アスカルは、
『桃太郎様は、
大変じゃのう、もう少しゆったりしてもいいのに』
と言ってました。」と言いました。

桃太郎は、
この20年間の戦いに明け暮れた日々を思い起こし
アスカルの言うように
もう少しゆったりとすごしていれば
おばあさんとも暮らせたものを と考えました。

その後アスカルの子孫は、
各地に朝廷より行くように命じられ、
日本全国平和な日々が続いたそうな。

よかったね。

この話しは、フィクションです。
また童話桃太郎は、まったく違った話になっています。
ご注意ください。

アスカル評;
 とてもいい作品だね。
 今後もお父さんがんばりなさい。
 特にアスカルのやり方が良いとは、
 眼の付け所がよい。
 なかなか教訓的な話になっていてよろしい。