登のクリスマスは たいした変化はありません。 薫子の スーパーマーケットで買ってきた 材料で ケーキを 作ったくらいです。 頑張って 泡立てて 作ったつもりでしたが 小麦粉を 入れたら ぺしゃっとなって あまり膨らみませんでした。 生クリームを泡立て イチゴで デコレーションすると それなりに見えました。 母親と一緒に クリスマスの夜を過ごしました。 テレビが 十大ニュースを していたので それに対して いつものように あーだ こーだと 突っ込みを入れて クリスマスの「宴」は 終わりました。 母親は へきえきする様子が うかがえましたが 登は 知らないようなフリをしました。 病院の挨拶回りに 年末を 過ごした後 大掃除を 入念に行いました。 日頃から 自分の机の上以外は 整理整頓に 心がけていますので 時間は 要しませんでした。 年末の休みは 毎日のように スーパーマーケットに出かけ 薫子を 遠くから あるいは レジでさりげなく 見ていました。 そんな 一年も終わり 2014年が やって来ました。 登は 正月だからと言って 初詣はいたしません。 表向きは 宗教上の理由などと 言っていますが 単に 無精だからと 家族は思っていました。 二日には 姉夫婦が 小さい子供を連れて やって来ました。 姉夫婦は 仲が良くて 本当に幸せそうでした。 登は 「子供って良いな」と 思いつつ 「夏子ちゃんの お父さんになれたらいいな」 妄想して ニヤニヤしていました。 賢明で 登のことを 何でも知っている姉には 見られないようにしたつもりですが 指摘されてしまいました。